「庭いじりの贅沢」池の殺菌灯を買った。2019年「湧清水」のメンテナンス。

母の父親は家を建てた母に「庭」をプレゼントした。

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50年近く昔は多くの家に庭があって競って鯉を飼っていた。
田中角栄が錦鯉を飼っていたのなど象徴的だ。
当時、駅前に観賞魚のお店があった。

小さい頃の思い出は、多く庭の思い出と重なる。
夏場になると「アオモ」が繁殖していけは真っ青になる。
僕の小さい頃はは定期的に水を落としては水道水をいれていたものだ。「湧清水」という循環装置を入れて14-5年になる。
母が亡くなってから僕が面倒を見ている。
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循環するタンクの上部に紫外線の殺菌灯を設置すると「アオモ」の繁殖を抑えることが出来る。


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昨年、光は出るのだが繁殖が抑えられなくなった。今年は新しい蛍光管に変えることにした。そういった池のメンテナンスをお願いしていた「フィッシュランドさん」は旦那さんが亡くなって廃業なさっていた。
メーカーに問い合わせたら、1時間ほど行った街の「古泉観賞魚さん」と言うお店を紹介された。

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電話してみたら、ネットで買うよりかなり割高だった。

話をしていたら自宅とお店が一緒でいつでも店にいるという。少し興味が湧いたので、行ってみることにした。

数年前に「100年しばた」という市民団体を立ち上げて、その時に地方の活性化を考えたことが有る。今でも考えているのだが、なにか惹かれるものがあったのだ。
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f:id:masaya50:20190322051716j:plain:w270:leftお店の前に立っていたら、元気なお婆ちゃんが招き入れてくれた。
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沢山の水槽が並び、小さな魚たちが泳いでいる。

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ストーブとソファーがあり、色々なお話をお聞きできた。お茶をいっぱい頂いた。
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バブルの頃は引っ切り無しにお客さんが着て休む間もなかったそうだ。
3人の娘さんも大きくなって近所に住んでいるという。

フィッシュランドさんのことも知っていた。色々とやり取りをしていたそうだ。

古泉さんの旦那さんが亡くなっった時にご夫婦でお葬式に来てくれたそうだ。

廃業して電話も変わり、引っ越していたから昔の住所しかわからないという。
香典を送りたいと寂しげだったのでうちに帰ったらお教えしますとお話した。

ちょうどお客さんが着たので殺菌灯を一本頂いて、お店を後にした。



帰りの道すがら少し泣いた。

たわけ者の社会

50年前、私達の社会は小さなお店から物を買って、家庭で食事を作り「一族(本家ー分家)」の結束が強かった。
それはシェルターであったが、拘束でもあり掟であった。当然、逸脱やフリーライダーに対しての処罰もセットとなっていた。

僕が東京にいた頃、本家で定期的に食事会が有ることを話したら「こちら(関東)ではそんなことはしない、せいぜい外であって食事するくらいだ」と驚かれた。

「戯者(たわけもの)」と言う言葉がある。「田分者」とかくそうだ。
家の生産手段である田んぼを兄弟で分けていく馬鹿者のことだという。

本家に定期的に集まり、田んぼから上がった収穫を米の形で配分する事が多かったときく。
一族の集まっての食事は、利益の分配の意味があるのだ。何か事があった際の互助の絆の確認でもありった。

これは生産と分配のルールである。文化人類学民俗学ではよく分析の対象となっている。

「家」が生産の場だった時代である。
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グローバリズムは一気にその構造を破壊した。誰でも安くて便利のいいものが好きなのは当たり前。
競争が社会をより効率のいいものにする。同時に、抜け落ちるものも有る。
 
僕はグローバリズムを悪いものとも否定するべきものと思わない。隣町から自分の商品買いに来てくれることは隣町のお店の客を奪うことになるのだ。簡単に善悪の線が引けるものではない。単純に社会の進歩などというものが有るとは思わない。
 
20年前に会社の経営を始めた頃、自営業者や農家がどうにも行き詰まり、破産したり、負債を自死による保険金で購った話もよく聞いた。




高橋和巳は言う。

「100人が目に進む時、99人の進む道を議論するのが政治だ。そして、一人うずくまり涙する人に目を向けるのが文学だ」と。
そして、忘れてはいけない、いつか自分もその一人になるのだ。

99人もそれぞれに孤独の中で死ぬ。
大儲けして騒ぐ「うつけ者」も、負け組の僕も、いつか通る道である。
 
まだ諦めちゃいないけどな。


家に帰ってから、フィッシュランドさんに電話した。久しぶりにお元気な声を聞いた。父が元気だと話すととても嬉しそうだった。今度顔を見に来てくれるとの事だ。

フィッシュランドさんの今の携帯の番号と住所を書いて古泉さんに手紙を出した。
 
殺菌灯は3ヶ月つけて、2年持つそうだ。
 
次もまた買いに行くことにした。

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