いじめの生態学 僕の工場日記

工場で働いていた頃の話である。

Kさんという人が、毎日活性炭のススだらけになりながら働いていた。
何か他の人とは違うなあと思いながら、彼は一番下っ端の仕事を黙々と続けていた。

僕は、労働組合の委員長になった。

歴代の委員長は皆、課長になって事務所で汚れる事もなく、課員を管理していた。
工場長の手先である。

Kさんが2期前の委員長だと言うことを知ったのはその後である。

彼は優秀だと思った。

組合は工場長の意図を組合員に伝えるだけの存在だった。
彼はとにかく自分の意見を工場側との会議で言い続けたのだ。

工場長は絶対的な権限を持ち、嫌な仕事に付かせることができた。


僕は彼は尊敬出来る人だと思った。
彼は、支配されない人間だったのだ。


労働組合の委員長は役職に就かないでも充分な手当が組合員から保障されないとだめだよなあ。
そうしなければ、戦う事は出来ない。


僕は全労などの偉い連中が高そうな背広着ている事が許せない。



しかし、Kさんは今何をしているだろうか。
お会いしたい物だ。


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