ロンゲストヤードって良い映画

刑務所ものと言うジャンルがある。

刑務所の中で支配者と囚人が戦うのである。

このジャンルは『人生における支配の問題』を正面から扱うことができる。

いじめは「閉ざされた空間の支配の問題」であると考えられるから、参考になると思う。




なぜ僕らはこういう憂鬱な映画を見るのだろうか。

刑務所に送られたクルーは刑務所長に言われる。

Mr Crewe, as old Mr Sam used say,"In this institution, to get along , you go along"
クルー君、教えておくぞ、このような施設では服従しかないのだ。

ローマの休日でカメラマンだった彼がこんな所で刑務所長をしているとはなあ〜

フットボール選手だったクルーは人生の目的を失い、刑務所に送られる。
彼はプロフットボール八百長をするが、それもその目的の為だった。

人生の目的を失った彼にとってフットボールは何の意味もなかった。


刑務所で支配される苦しさを知り、フットボールチームを作る事で刑務所長の側に立つ事を選択する。
これも八百長である。彼にとっては自分の為なら他人はどうだっていいのである。


仕組まれた試合であることを薄々知っている男に言われる。
There's only two things left they can't beat or sweat out of you . Your balls.
所長にも奪えないものがふたつある。キンタマだよ。ここを出る時はそれしか残らない。

人生の終わりに残るものもそれだけかもしれない。自分自身に対する誠実さである。


支配者は、自分自身に誠実ではない。ある意味可哀想な生き物である。
ロバートアルドリッチの作品は繰り返しこの主題を扱っている。
北国の帝王を見てもそれは分る。


チームを作って行く間にクルーはスポーツの力を知って行く。
世俗的な支配関係を打ち破り、スポーツはその空間と時間の中で人々を自由にする。

八百長と言うのはその自由を作り出す空間に浸食して行く。


負けなければ刑務所に永遠につなぐ、負ければ即仮釈放とクルーは取引を申し込まれる。

看守だった頃に彼を殴った老人と話す。

That time you hit Hazen in the mouth , was it worth it? Was it worth 30 years?
所長を殴るだけのことはあったか?30年でも
Year . For me it was.
後悔はしていないよ。


この瞬間、彼は初めて戦いを始めるのだ。



そして、人生を見つけるのだ。



この映画を見ると涙が止まらない

人は人生において幾度も岐路に立つ。
奴隷として生きるか、人として生きるかである。
困難な道を選ぶ事は難しい。

支配者は、支配者と言う奴隷の道を選んでいるだけなのだと言う事をこの映画は語っている。

僕はこの映画が大好きだ。



リメイクの方もなかなか悪くはないが、やっぱバートレイノルズ版が良いなあ。

      • >ゆっくり見返したんだが、リメイク版は屑であった。バートレイノルズが出ているのが嬉しかったが.....2011/5/17

「ショーシャンクの空の下」「暴力脱獄」を見たくなった。


明日は労働組合の頃の事を書こう。


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