庭仕事 母の思い出の樹(1)

母が亡くなって丸2年が経ち雪が溶けた。
庭の菖蒲の生えていた所に、なにか思い出の樹を植えたいと思った。
桜を植えたいと庭師さんと相談したら、「あんな面倒な樹(虫はつくし花の期間は短いし、デカくなる)は止めたほうが良い」と言われた。
いろいろと探したが、結局決まらないままに春になった。



庭の奥に「千両グミ」の老木が有った。
敷地からはみ出てしまい、庭を囲っていたヒバを切ったら自分で立っていられないことがわかった。
縄で吊ったがどうも切らなければならないようで残念に思っていた。


庭師さんが、母のために、よそから持ってきてくれたものだった。
そういえば、母と庭を歩いている時に話に上ったことが有ったような気がする。
どうせ切るならばと思い、この木を移すことにした。



問題は、斜めに伸びた樹をどう支えるかである。
そこで、庭の飛び石を掘って支えることにした。
斜めに伸びている樹を角度をつけて植えてできるだけ垂直に向くようにした。




植え終わり、もう少し石を掘り動かした。まるで岩を割って伸びたような趣で、面白みがある。
頑固で、自分を曲げないで必死に現実と向き合った母のことを思いだす。

昨日は暖かかったが、今日は一転小雨が降り寒い。
この雨で上手く根付いてもらうと嬉しい。
今年は、凛と伸びた硬い幹に青い葉がさいてくれるだろうか。






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