『"糖尿病が世界を滅ぼす"が現実に!?』なるわけがない。と言うか、煽り方(考え方自身)が間違えている。

憂鬱になる記事を読んだ。

この医者の記事はよく見るのだが、糖尿病の恐怖を煽りすぎている。
まあ、糖尿病専門医なのだから仕方がないが、こういう煽り方は問題の本質を見間違えさせる。


糖尿病は、現実に対する身体の正直な反応である。
問題は「現実」であって、それに反応している病人ではない。

あたかも、糖尿病だけが問題のように書かれている。
実際には、糖尿病は「数多くの辛い死」へ続く道(マーカー)の一つにしか過ぎない。



大血管系(筋組織を持つ血管のトラブル)==>高血圧や高脂血症などがマーカー
高血圧、高脂血症心筋梗塞心不全、脳溢血

毛細血管系(血管の内皮細胞のトラブル)===>糖尿病がマーカーになる
眼底網膜症、腎不全、末梢神経障害

免疫系1(自己免疫系疾患)===>これらの症状がマーカー
痛風リュウマチ骨粗鬆症、五十肩、肋間神経痛、癌(前駆癌)

免疫系2(侵襲型免疫不全)===>これらの症状がマーカーで終点
壊疽、壊死、(誤飲性)肺炎、感染性腸炎、感染性鼻炎など

糖尿病I型も最近の分類では免疫系1に入る。



問題はマーカー(検査値異常)に対しての対策が『有る』というところである。

特効薬がなければ、生活を変える他無いのだから、医学の無力が分かる。しかし特効薬が有るからあたかも直しているような気にさせる。

『高血圧、高脂血症、糖尿病、痛風リュウマチ骨粗鬆症、五十肩、肋間神経痛、前駆癌』全てに検査値を低くする薬が存在するのである。
しかし、単にマーカーを抑えても、崖に向かって走っている車のアクセルを緩めないでブレーキを踏む等なものである。
やがてブレーキが焼き切れるまで進み、崖から落ちるのである。

僕は7年間SU剤という血糖値を下げる薬を処方された。
医師にいつこの薬から縁を切れるのか聞いた。直さない薬だといわれた(正直な医者である)。
いずれインスリンに進み、その先は神のみぞ知る道であった。

しかし、食事を変えて、今は血糖値は「正常範囲内」である。


問題は、高い血糖値(マーカーの異常)ではない。
それを生む生活をどう変えれば良いのか、どうすれば維持出来るのかである。

医師には、見当もつかない。
しかし私たちは医師に頼る。次の本の主題である。







糖尿病は、社会の中で個人個人にあった食事を作ることが出来ない事が表面的な問題である。
そのバクボーンには、「何を食べて良いのか分からない」という状況がある。
医師は食事指導をするが、ナラティブな意味で全く科学的ではない。

人の体は複雑系の反応が複雑に結びついていて因果関係は実質的に明らかには出来ない。
しかし、エビデンスベースの「無誤謬な医学」は”多数決”と”患者の自己責任論”で患者を治療しようとする。
患者がどうなろうと、マニュアルに従っていれば罪は問われないのだ。





この記事の結びはこうである。
健康的な食生活が常に個人個人の生活シーンの中で選択肢として存在し、気づかぬうちに歩数を増やさざるをえない、あるいは、増やしたくなるような仕組み・仕掛けを社会全体で構築していくべきである。

一見すると僕の考えと同じようである。社会を変えると最後の方では書かれている。
しかしその内実は、噴飯物である。






歩数を増やすのに「気がつかないうちに自然とそうなるように」仕向けると言うのは、余りに患者を馬鹿にしていないかい?
「運動強迫観念症」とでも言うべき老人は多い。
運動をすると「認知症」にならないとテレビや雑誌で白衣を着た連中が言うからである。
自分たち誤謬をすり替えている。




食事についての記述に関しても気に入らない。
まるで機能性食品(糖質の吸収ブロック機能)を絶賛するようではないか。
彼(糖尿病学会)の推進している「カーボカウント」なる食事療法は僕にいわせれば「皿の上の栄養学」の焼き直しでしか無い。





根本的に、個人個人で体内の必要とする物は違う。
同じものを食べても決して同じようには代謝されない。
何よりも、人の体の構成は「脂肪50%」「タンパク質50%」である。
おまけに他の生命に依存する「脂肪とタンパク質」があまりにも多いのである。
そんな所で、高齢になったら全て「脂肪」に代謝される「炭水化物」をそんなに食べさせてどうするのだ。








この30年間、医師や研究者たち「専門家」はこれらの災厄を「病気」とよんで「治療」が出来ると幻像を与えてきた。
その結果、社会は歪、多くの不幸が生まれている。
自分たちもその一部になろうとしている。

まずは、自分たちが無力であることをはっきりと認識することである。
白旗を挙げなければ、根本的な問題点は見つからない。



そして、答えは、苦しんでいる患者自身の中にあるのだ。

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