父と暮らす 食事の時に一緒にいること

私は父毎日「朝食と夕食」を一緒に食べる。
昼食は昼寝の後なので実家に持っていくこともあるが12時に起きている時は食べに来る。


食事の途中で橋を使って歯に挟まった食べかすを取ろうとしたり、鼻の穴に指を突っ込んだり、やりたい放題である。
たしかに汚いと感じることも多い。子供達には不評である。

夕食は、晩酌をするので1時間かかる。僕は飲まない時は10分で終わる。
一人きりは寂しいだろうと思い、向かい合わせにテーブルに座って本を読むことにしている。
僕はコーヒーをいれて、父にはお茶を淹れる。

父はウツラウツラとしながら楽しそうに、「旨いし眠い」と繰り返す。
前は、「こんな美味しいもの食べながら眠いなどというのは申し訳ない」といつもいっていたが「お腹が貼れば眠くなるのは当たり前」、世の中には眠れない人も多いのだから、「眠くなれるのは幸せなことだ」といつも言っていたら、このフレーズは言わなくなってきた。


母はもういない、いつも、先に食べ追わった母は父の横でお茶のんで一緒にテレビを見ていたものだ。

父が食べている姿を見ると、心が休まる。



間もなく母の一周忌である。

大きなプロジェクトが大方終わった。母を殺した糞野郎が来たら、落とし前着けてやるつもりである。
僕にはまだ母の死が辛い。とは言っても父が生きている間は、僕は死ぬ訳にはいかない。
父が亡くなった後で乗り込んでやろうかと思う。

父を最期まで面相を見るのは母との約束である。



酒を飲み、ご飯を80g食べて、おかずを平らげると、美味しかったと言って実家に帰る。

明日も朝ごはん食べにきなよと言うと嬉しそうに「今日もいい一日だった、明日もよろしくな」という。
いつか、この声が聞けなくなると思うと涙が出てくる。

出来るならば、寝ている間に苦しまないで亡くなるといいなと思う。
僕はそんな人生の終わり方をしたい。



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