糖尿病の食事学 シーズン2 仮説と検証 「血管=上下水道のモデル」は正しいか?
僕の仕事は、システムエンジニアなのだが(多分)お客さんとシステムについての話し合いをするといつも、「仮説」->「検証」のくり返しである。
仮説というのは現実の分析の理論で、検証というのはその理論が正しいかの確認である。
糖尿病とは「高血糖の状態で、血糖が血管を傷つける」と言う仮説は正しいのだろうか?
このモデルは、上下水道のモデルである。
血管を上下水道の管とみなして、流れる血を水と汚水と考える。
血管は「管」と同じように錆びついたり、老化したりしていくが、取り替えることが出来なくてやがて詰まり、ぼろぼろになるというものである。
確かに脳梗塞のような外科的な問題に関しては正しいかもしれない。
『眼底の血管がボロボロになっている状況は、不可逆な変化なのだろうか』と言う疑問である。
人の体は、ほぼ1ヶ月ですべて再生すると言われている。
傷は治るし、体は同じように機能する。
血管は再生しないのだろうか?
ブドウ糖が体内にジャブジャブの状態で、あらゆる細胞が再生していく時に、「ブドウ糖が不必要に多く組み込まれてしまう」のではないかというのが僕の今の仮説である。
血管の中だけをブドウ糖は流れているのだろうか?
あらゆる体液の中を流れているとは考えられないのだろうか?
細胞は体液の中に浮かぶ油の膜である。
人の体というのは、60兆個の細胞が集まっているマンションである。
体液の中をジャブジャブにブドウ糖が満たしている状態で、細胞は再生しようとした時、その素材の中にブドウ糖が(大量に)組み込まれるとしたらどうだろうか?
ピッタリ合ったレンガを積んで行かねばならない時に、大きさが揃っていないレンガが組み込まれるのである。
レンガ=タンパク質と考えると、タンパク質がブドウ糖と結びついて(糖化反応)、細胞が正しい状態で再生されないと考えられないだろうか?
不可逆な自己再生を僕らは「老化」と呼ぶ。
それは悪いことではないし恐れることもない。
糖尿病は老化が早く来る病気だと僕は考えている。
食べているものが体という鏡に写るのである。
『You Are What You Eat』である。
そして、多くの実例が、生活を変えることで、鏡に写る姿は変わることを示している。
2015年4月8日に眼科で検診を受けて、眼底の血管を来月レーザーで焼かなければ失明すると言われた。
恐らく、その医師の経験則からそれは正しいのだろう。
僕の体の血管はボロボロなのだろう。
しかし、それは、その時の僕の生活を映した鏡なだけである。
体液の中を「ジャブジャブにブドウ糖で満たされていない状態で半年生きたら」血管は正しく再生するだろうか?
一旦レーザーで焼いた所で、食事が変わらなければ同じことの繰り返しである。
また何年かしたら、焼かねばならない。
どうせ、いつかは死ぬ身である。
この世に客に来た身である。
ならば、この仮説の検証をしてみようではないか。
1年後に駄目だったら、死のうと決心をした(笑)。本気である。
若いころの不摂生で僕は糖尿病になった。
毎日のように会社に泊まり、月の残業は300時間を超えた。一日5回の食事は会社のそばの牛丼屋と立ち食いそば屋であった。
当時の僕の体の50%は牛丼とカレーと天ぷらそばで出来ていた。あと半分はライムサワーである。
しかし、その頃の数年間の厳しい体験(プログラム作りお客さんに怒られる繰り返しであった)が、今の僕を作っている。
糖尿病は辛い病気だが、僕の一部なのだ。
納得の行く人生を送りたい。
なので、レーザで眼底は焼かないことにした。しかし、どうなるかねえ〜
一年後が楽しみである
死ぬ気になれば、タバコも清涼飲料水も止められる。
時折、猛烈に吸いたくなるが、どうも吸う気にならない。
タバコの中の数千の化学物質が細胞の再生時にどんな事しているのか分からないからである。
世界を見つめる僕らの智識は、さほど深くも、叡智に満ちたものでもない。
There are more things in heaven and earth, Horatio, Than are dreamt of in your philosophy.
後は酒だな。
もう少し決心がいるようだ。
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