『幸運な病のスタディ』(15) 眼底網膜症(失明)の栄養学 細胞の栄養学(5)
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眼底網膜症(失明)のお話です。
誰でも、年取っていくと身体の組織は衰えます。
決して眼底網膜症は「糖尿病」だけの問題ではありません。
70-80歳になって突然眼底のレーザ治療をすることになった人も多いものです。
失明と天秤にかければ、当然治療を始めるのが当たり前です。
そして、この病気も、本当の原因は毎日の生活の中にあります。
2015年4月に失明の危機を宣告されました。
そして、僕の『糖尿病を巡る冒険』は始まったのです。
『幸運な病のスタディ』(15) 眼底網膜症(失明)の栄養学 細胞の栄養学(5)
若い頃の身体は、年とともに衰えていきます。
この不可逆な変化は、やがて大きな災厄へとつながっていきます。
僕は、永遠に若くなどと思ってはいません。
ピンピンコロリの死を迎えられるように生きていける食事を探しています。
眼底の網膜を構成する細胞が、苦しんで、新生血管を呼び寄せます。
血糖値が高いと毛細血管が傷ついて合併症が起こると言う説明は不十分です。
「血液関門」で守られている「組織の細胞」が苦しんで新生血管を呼び寄せている様に見えます。
本当の問題は網膜組織が「新生血管」を呼び寄せる原因です。
眼底の細胞は、栄養が足りなくなって、苦しんでいるのです。
しかし、その「栄養不足」とは単純に何かの物質が不足しているのではありません。
「血液眼底関門」というシステムを機能させるためのタンパク質や脂質が不足しているのです。
そのために「血液眼底関門」が機能不全に陥っているのです。
新生血管が3層の網膜を突き抜けて眼球内部に出血を始めます。
風呂で湯気が上がって視界がぼやけるように見えなくなってきます。
網膜の外側に出血すると網膜剥離が起こります。
なぜ、細胞は血管を呼び寄せるのでしょうか?
血管を作り出す機能はなんのためにあるのでしょうか。
新生血管という仕組みは、私達生命にとって当たり前の仕組みなのです。
受精卵が多くの細胞に分かれ、身体を形つくっていくプロセスにおいて血管が身体の組織中に組み込まれていくためにはこの機能は必要です。
また10万キロの血管が部分的に破損した場合にバイパスしたり、置き換えたりという作業は必要となります。
そんな時に細胞は全体を知ることはなく、ただ反応します。
血管というシステムに不具合が生じた時、単に細胞は「自分自身が困っている」と言うプロトコルを発します。
それは、血管を形つくっている細胞群にとっては「新生血管を伸ばせというプロトコル」なのかも知れません。
あたかも協力しあっているように見えますがそれは観察者の目に写る「色」でしかありません。
細胞同士は互いの存在を知らないのです。次のスタデジのネタです(笑)。
環境に適応するために、生命は数多くの仕組みを持っています。
その機能が複雑化していくプロセスを私達は「進化」と呼びます。
同様に、細胞は身体の中で生きていくために多くの仕組みを持っているのです。
この病気は「細胞の当たり前の反応」です。
食事は体内の体液(血液+間質液+細胞液)の環境を左右します。
市場で提供される食事は「炭水化物という魅力的な依存品」が中心になります。
そこにこそ問題があるのです。
生活習慣病は「食事の外注化(他人任せ)」が呼び起こす災厄なのです。
僕は今も失明の恐怖に向き合っています。
朝起きて視力が思わしくない時、自動車免許の更新の視力検査、不安でなりません。
しかし、医師に頼っても、ダメなものはダメなのです(笑)。
あたわったものは変えられません。
医師の言うことを聞かず、自分で学び食事を作る僕を「愚か者」「お前のような馬鹿は失明すればいい」と言い放つ輩もいます。
妻は「失明したら目の代わりをするから自分の思ったとおりにすればいい」と言ってくれました。後に撤回.....(笑)
僕は自分が80歳になったときに、「たくさんの薬を処方され・眼底のレーザ治療を繰り返しながら」生きたくはありません。
どんな食事が僕を僕らしく生きさせてくれるのでしょうか?
自分が「あたわった命」を十分に生きる食事を見つける長い旅でもあるのです。
父の食事を作り、家族の食事を作り、記録して何かを見つけたい。
癌が新生血管を呼び寄せるという現象が「考える血管」の中では紹介されています。
僕のスタディの中で一番のおすすめ本です。
考える血管―細胞の相互作用から見た新しい血管像 (ブルーバックス)
- 作者: 児玉龍彦,浜窪隆雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/06/20
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血管に関しての勉強を勧めていく内にだんだん内容ががわかってきました。
血管研究の本は多くありますが、僕に必要なものはこの本で十分でした。
と言うか、「最新の知見、先端研究」というのは、後でひっくり返ることが多いものです。「古典」と呼ぶべき本と思います。
- 作者: 児玉龍彦,渋谷正史,高橋潔
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/05
- メディア: 単行本
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細胞の間のコミュニケーションと言う観点から生命の仕組みを見ています。大変興味深い内容です。
こちらもおすすめです。
システム生物医学入門―生命を遺伝子・タンパク質・細胞の統合ネットワークとして捉える次世代バイオロジー
- 作者: 児玉龍彦,仁科博道
- 出版社/メーカー: 羊土社
- 発売日: 2005/06
- メディア: 単行本
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児玉龍彦先生、申し訳ありません。参考文献のページでお名前間違えてしまいました。お許しください。たくさん売れて増刷になったら直させていただきます。お許しください。
血管のことに関してはこちらのスタディもご覧ください。
眼底のトラブルに関してはこのページがきれいで分かりやすいです。
網膜は神経細胞なので、何らかのトラブルで「死」を迎えても、他の多くの細胞のように同じ役割を担った細胞が生まれてきません。そのために、不可逆な変化(老化)が否応なく訪れます。
若いということは「死んでいく細胞」と「新たに生まれる細胞」の数のバランスが釣り合っています。
しかし、徐々にいんでいく細胞の数のほうが多くなっていきます。これが、「コロニーとしてのヒトの死」なのです。
コロニーとしての私はいつか死に身体を構成している細胞は塵に帰るでしょう。
しかし、僕が見つけたものが誰かの心に残ってもらいたいと思っています。
まるで遺言だねと妻に笑われた。
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