言語を生み出す本能 mixiから引越し 2006年09月01日 10:43
- 作者: スティーブンピンカー,Steven Pinker,椋田直子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 1995/06/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2006年にレビューを書いていたが、色々な本で彼の著作は引用されている事に驚いた。
『子育ての大誤解—子どもの性格を決定するものは何か』・「ザ・カルチャークラッシュ」
これ以外にも最近では進化学系の本で見ることが多い。
20世紀の哲学を本質的に変えたのは「構造主義」的な考え方であると言える。
神という仮説から脱することがこの時代の役割だったような気がする。
人間は、特別な存在ではないのだ。
それでも、人は言語を持っているから、他の生き物とは違うと言うことを言う人は多い。
ピンカーさんの著作は、そういう考え方を意味が無いものとする。
言語というものはさほど特別なものではないのである。
確かに、ヒトという種を他の生き物との環境に適応するための競争においては有利に働いたのかもしれないが、ただそれだけである。
この事は、も少し考えたい。僕の大好物の世界である。
####### 以下引越し内容 #################################
教育は万能ではない。そして、遺伝も悪い物ではない、人生をあきらめないならば。
そもそも、人間の持っている言語能力の起源(生得か学習か)に関しては長い議論と考察が有った。
残念ながら、決定的な結論を出すに足るだけの科学的な材料はなかった。現在の研究はその問題に結論出すに足るだけの物となっている。
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何らかの能力が「生得であるのか?」「学習で得るのか?」と言う議論は難しい。
この本の中で彼は実に明確に一般の人が持っている誤解を解いて行く。
チョムスキーと言う言語学界の巨人が作りだした考え方をピンカーさんは実に巧みに使って多くの問題を解決している。
そして、大事な所はその先である。スティーブン・ピンカーさんには人間に対しての絶対的な信頼があるのだ。
彼の学問のバックボーンには差別や多くの不幸を生む社会的な仕組みや運動に対してのプロテスト(異議申し立て)が感じられる。
とても良い事だ。人が外見、性別、人種、金銭的な豊かさなどで判断されるのではなく、その内面によって評価され、ともに生きて行ける社会が出来る事を夢見ている事が分かる。
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ピンカーさんの本はこれ以外にも何冊か訳出されているが、この本が一番好きかなあ〜。
そうそう、スティーブン・ピンカーさんはジュディスリッチハウスさんの「子育ての大誤算」の中に推薦文を書いている。
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>>>>言語を生み出す本能 下巻 p294より<<<<<
同じ言語を話さないというのは、意思疎通が出来ないという意味で使われる表現だが、心理言語学者から見れば、それは表面的な違いに過ぎない個人を越え、文化を越えて普遍的かつ複雑な言語が存在し、単一の心的メカニズムがそれをささえていると確信している私にとっては、どんな発話も,たとえ一語も理解出来なくてさえ異質な物とは思えない。外の世界と始めてであったニューギニア高知人たちがそのとき撮影されたフィルムの中で交わすやり取り、手話通訳の手の動き、東京の遊園地で見た幼い子のおしゃべりーーー私にはそれらの底にある構図が見える様な気がする。そして私たちが皆同じ心を持っている事を実感する。
言語を生み出す本能(上/下)
スティーブン・ピンカー
椋田直子
NHKブックス 1995/6/25 − 2000/2/10