「忖度」と「パワハラ・セクハラ・いじめ」の国(3) 「日大アメリカンフットボール部」の事例(2)

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いやー、日大の学部長の記者会見恐ろしくアホだったなあ。

問題の核心がどこにあるかわからない連中であることをはっきりとしたね。


「他大学はなんとか日大から受験生を奪いたいと思っている」のである。わかっているのだろうか?
一番の問題は「少子化」「大学の学生不足」なのだということが見えていない。
日大は、大学が拡大してきた時代の名残を引きずっている。

おまけにネット時代にはかつてのようなブランディング政策(広告費のバラマキ)などというものは通用しない。



これは少ないリソースをいかに奪い取るかというコミュニティのパワーゲームなのだ。



「危機管理」というと、何かのトラブルへの対応と単純に考えられがちである。
しかし、最も重要なのは、「トラブルの主」と「その経営資源の取り合い(共有)をしているコミュニティ」の関係である。

例えば、食品に異物が混入していた時には、食品業界全体というコミュニティの問題となることはわかるだろう。
だから、他のメーカーも問題が沈着することを望む。
問題が大きくなればなるほど自社の製品も売れなくなるからである。


競技中の事故で誰か亡くなったならば、これは全体で沈静化へと動く。
マスコミもコミュニティの大多数の発注がほしいから沈静化に動く。


では、日大アメリカンフットボール部の問題はどうだろうか?
まずは、ラフなタックルと考えたらこのスポーツ全般に言えることである。
なので、あれだけ露骨なプレーでなければ問題とはならなかっただろう。
しかし、明らかな問題のプレーであった。

また、選手が記者会見した時点で、「学生を追い詰めた=疑似自殺をさせた」という局面に入った。
自分を追い込んだ人物を名指しした遺言入りの自殺である。
これは破壊力がある。

選手は、もうフットボールをしないと明言しているのだからまさに「選手としての自殺」である。

監督とコーチに殺されたと明言しているのである。




この致命的な状況を全く理解していなかったのである。
監督やコーチやチームメートは。この選手が自殺するとは思っていなかったのである。
つまり、コミュニティの奴隷となって生きると思っていたのである。


ここで一気に「日大 vs 他の大学」の「受験生の奪い合い」の局面に入るのである。

その時点で「疑惑の理事長」が記者会見するべきであった。
様々な黒い噂を一気に打ち消すこともできたであろう。

それを学部長に押し付けて、結局、「コーチのクビ」で手打ちにしようとしたのである。
監督は一年謹慎でその後で判断をするという。


生徒は自殺(象徴的な意味)しているのである。
これでは、いくらでも攻撃される材料をわざわざ敵に与えている。


ここで言う敵とは、「受験生を取り合う他の大学」である。
マスコミも「他の大学」の側である。
ネットの住人や多くの閲覧者も、分かりやすい悪役を叩きたがる。
なにせ、「死が絡んでいる」悲劇ほど人を引き付けるものはない。


「危機管理」に関する学部があるというが、ネクタイの色や言葉使いや司会者の態度程度のことをマニュアル化するだけだ。

「危機」とは、自分に対して牙を向いてくる奴らとどう向き合うかである。

人生の危機に直面したこともない連中にはわかるまい。

僕にはわかる。僕の人生は毎日が危機である。
トラブル・イズ・マイ・ビジネスなのだ。

今日の教訓である「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。

ああ、来年の受験生の数がどうなるか楽しみである。
かえって上がるかなあ。


また、行政は、無駄な補助金を切り捨てたいと思っている。
ここでいう無駄なというのは、日大の補助金が「経営に不正なルートで還流」しているのではないかという疑惑である。
果たしてこう言うことがあるかどうかはわからないが、多くのメディアで報じられている。
暴力団と理事長の関係なども、行政からしたら、自分たちが責任を問われる問題だ。


そういう意味でも、「理事長」は最高のチャンスを失った。

また、落とし所は監督の永久追放しかないだろうなあ。
教育者として不適格であると言うレッテルが貼られているからもう駄目だろうなあ。
コーチはあっという間にクビになったから、理事長との太いパイプがあったという報道はその者であろう。

しかし、高校から選手が供給されなければどうなるんだろうか?

アメラグというのは世界的に市場が広がっているスポーツである。
なかなか面白い展開である。

ああ、早送りして結末が見たい。




しかし、このシナリオを書いたのは誰だろうか?
あの選手の父親かねえ。維新の会の関西の市会議員と聞くが、やっぱ仕込んであったのかなあ。
なんとも素敵な妄想は広がる。

おそらく、関西大学にとっては測りしれない額の宣伝効果だろうし、日大にとっては挽回が可能かどうかわからない程のダメージだし、アメリカンフットボール界にとっては良い宣伝だったろう。これで日大の理事長が辞める所まで行くかねえ。

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