昔、安吾さんのエッセイで......
「泥棒日記」と言う小説を取り上げていた事を知っていたのだが、作者も作品名も覚えていなかった。
ジャン・ジュネさんであった。
彼が、実存主義に傾倒していた頃の話である。存在することを肯定し、権威とは何かということに向き合っていた頃のことである。
安吾がヒロポン中毒でひどく苦しんでいた話を探そうと思っていた。
文庫版お全集を幾つか持っているのだが、抜けている巻がある。
たしか、30代の前後に買ったと思う。
安吾さんほど、自分の内面の欲望を見つめた作家はいない。
そして社会と個人の関係を見つめた作家もいない。
社会が壊れた瞬間を見つめていたのである。
もしかしたら、僕に今見えているのは、社会が壊れている瞬間なのかもしれない。
というか、常に壊れながら作り直されているのが世界である。
ロング・エンゲージメントと言う映画が好きである。
戦争を描いた映画の中では最高に好きである。
予告編を見たのである。
ジョディ・フォスターが何とも色っぽかったなあ。
戦争の話は辛い。
父の古いアルバムを見ると感じることである。
母が、昔自分の一番上の兄の最後(シベリアで緑流され亡くなった)を看取った人が新発田に尋ねてきたときのことを話していたことを思い出す。
結局は合わなかったということだった。
人生は苦痛の連続である。
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