安吾大好き mixiから引越し2006年09月05日 00:03

安吾大好きである。
今度まとめて書きたいのだが、なかなかその時間がない。
青春論で描かれている武蔵が大好きである。

ラングとパロールの概念が20世紀の哲学を作ったようなきがするのだが、彼の堕落と言うのはパロールを是認する立場である。
僕は大好き。



2000 新潮社 坂口 安吾

安吾は実に明快な論理を持った人だと思う。
何度も読んだし、全集も買った(文庫版)何度読んでも面白い。(長い小説は退屈だが)
特にお勧めは青春論に出て来る宮本武蔵象だろうか。とても面白い。あと、代用教員時代の子供を見つめる彼の視線の素晴らしさだろうか。「風と光と二十の私と」だったかなあ。


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堕落論、人生で迷ったとき、いつも僕はここに帰ることにしている。例えば妻以外の女性に恋をしたとき、その恋に身を焦がすべきか、忘れるべきかと言う時などこの本を読むといい。(例えばの話ですよ)

ここにあるのは、社会や道徳、規範といった社会の仕組みとでも言うべきものと、「生の人間」のもつ心や感情と言ったものの対立をいかに調和させるかと言う問いかけである。

僕らは『生きて行く上で、この肉体と心をどう扱ったらいいのだろうか』という問いかけに対しての答えなのだ。

安吾自身の人生の辛さから出て来た答えなのだろう。
肉欲と言う海を内に秘めた人間は、いかに生きることで安らぎを得ることが出来るのだろうか。

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安吾は、どこまでもその心にそって生きていいと言っている。そして、いつかその苦しみも満月の夜の波のない内海の様に平穏な姿を見せる時が来ると言う。(堕ち続けることは出来ないと言う)

そして、一人一人が苦しみ、悩むことで制度や社会は少し変わる。彼は、それが社会の変化(進化ではない)の原動力だと考えている。


長く苦痛と悩みに満ちた彼の一生を思うとき、晩年に良き妻と子供を持ち、死に至った彼の人生を考えると少し心が安らかになる。どんな風景を見つめていたんだろうか?

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堕落論を思うとき、井上陽水の『てびきの様に』という歌を思い出す。

ああ、食事で食欲を満たせるように、肉欲もさらりと満たす方法が有ればいいのになあ。

http://www.inet-shibata.or.jp/~diet/o_democracy/o_person_ango1.html


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