「人生痩せたり太ったり(仮題)」のコンセプト(9)生命のM&A(3) マイクロバイオームが明かす免疫
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マイクロバイオームとは何かという事を考える。
細菌やウイルスが私達の身の回りに満ちているという事が「科学的」に証明されたというを示す。
昔から言われてきたことであるが、大きな転換があった。
「大便」から大量の微生物の痕跡が見つけられて、私達の身体の細胞の遥かに大量の存在が証明されたのである。
これは驚きの発見だった。
植物は「独立栄養生物(注1)」といわれるが、実際には土中で様々な役割を担う細菌たちと共に生きている。
動物も、同様に腸内に住む多くの細菌と共に生きている。
莫大な量の細菌が内蔵の中に存在するということは、生命に対しての考え方が逆転する。
多数決ではないが、「卵子と精子の受精に源を発する共通のDNAを持った細胞群」などよりも遥かに多くの生命が存在するのだ。
ヒトや動物、植物を多細胞生命と呼び、細菌やウイルスをあたかも劣った生命のように扱う。
しかし、それは生命というものを見誤るもとではないのだろうか。
例えば、ヒトを『真核細胞=ミトコンドリアを細胞内に共生させる細菌』の集合体と考える。
意識は、この集合体(コロニー)をコントロールする「何か」である
「免疫」という考え方がある。
マイクロバイオームという発見が一番の変化をもたらせたのはこの免疫という考え方に対してである。
これだけ多くの細菌がいるのに、なぜ免疫は皆殺しにしないのか?
ということである。
今年、帯状庖疹になった。
4月の頃のことである。母もたいへん苦しんだことを覚えている。
すぐに医者にいけば治るといわれたのだがどうも行く気がしなかった。
痛みが引いたら、体の前の方にかゆみがでてきた。母とほぼ同じ場所に出来ている。
母は余りに辛くて、写真に取ってもらいたいと言った。写真に撮った事を覚えている。
写真に撮ってもらいたいのではなく、僕に見てもらい、共感してもらいたかったのだ。
思い出すたびに、邪険に対応した自分が悔やまれる。母さん辛かったろうね。ごめんね。写真はまだ見つかっていない。
痛みが終わった後で、身体の表面に痣のようなものが出来て、痒みが止まらない。
思わず掻きむしると、ドンドン広がっていくのである。これにはびっくりである。
痒くて自然と手が行くのである。他の人にはうつらないと言われるが、本当だろうか?
まさに、水疱瘡の菌に僕が操られていると感じてしまう。
調べていくと面白いことが分かってきた。
免疫が弱まってきたために、潜んでいた水疱瘡の菌が活動を再開したという。
なぜ免疫は、30年以上の長い間見逃していたのだ?
本当に免疫力が弱ってきたためなのか?
ならば、老人は全て帯状庖疹になるはずではないか?
「免疫力が弱ってきた」と言えば何でも説明ができると思っているのではないか?
確かに、「免疫力」と言うのは昨今のスーパーワード、究極の言い訳である。
白衣の欺瞞と僕は呼んでいる(注2)。
もしかしたら、帯状庖疹には「効果」があるのではないか?
水疱瘡のウイルスこそが、僕らの身体の主なのではないか?
意識はせいぜいでマンションの管理人でしか無いのではないか?
進化医学の観点は、病を忌避するのではなく、病の意味を考える。
僕の商売(システムエンジニア)は、お客さんの問題の意味を考えるところから始まる。
決して問題は潰した所で終わるわけではない。
その問題の意味を理解しなければ次の現象が現れる。
そしてイタチごっこは続く。世の中にはイタチをペットにしている輩(ヤカラ)は多い。
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この本が詳しかった。何とも恐ろしいことが起こるのだとおもった。
確かに、臨床で直面してみれば「ウイルスは敵である」事は確実である。
僕も、運良く目には来なかったが、これが原因で失明したり壊死に発展したりするとは想像もしたくはない。
実に難しいところである。
免疫に対しての無条件な前提がある。
免疫は、「私」を守っているという確固たる思い込みである。
そして「私」の定義が問題になる。
精子と卵子が受精して、細胞分裂を繰り返して、多細胞生命となる。
そして、その生命を脅かす細菌と戦うのが免疫だと考えているのである。
この数百年の人類史を考えれば間違えではない。
多くの、医学の歴史は。ヒトを脅かす感染症(伝染病)との闘いであった。
ポリオ、天然痘、様々な感染症は農耕が人が狭い空間で密集して住むことで起こったのである。
しかし、文明以前のヒトの生活は小さな集団が点在して、殆どの感染症はヒトの生活圏には存在しなかったのである。
ジャレッドダイアモンドさんの本に詳しい。
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
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農耕を発見したヒトを苦しめた感染症は文明病だった。
この項続く。
免疫は「私」を守るのではなく、優秀(細菌をより豊かに増やすことのできる)なコロニーを維持するための仕掛けである。
だから、免疫の仕掛けは自分と同じDNAに由来する細胞も細菌も、ウイルスも、異物も見境なしに壊す。
無慈悲な壊し屋でなのである。
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お、いい事書いてある。
そしてヒトとしての死は、悲しむことも多いが、そこに住んでいる「微小な生命」にとっては、せいぜい、マンションが古くなったから引っ越す程度の事でしか無い。
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注1 : 独立栄養生物
太陽光線と水と二酸化炭素から炭水化物(高分子化合物)を作り出すという定義になるのだろうか。
しかし、大昔の考え方である。
まるで、他の生命の力を借りないようなものの言い草である。
根は光合成を行えないので葉で作られた『ADP<->ATPリサイクルの素=ブドウ糖=デンプン』が必要になる。
根を構成している細胞は葉を構成している細胞(葉緑素を持ちデンプンを作り根に送る)とどういう関係にあるのだろうか?
共生関係なのだろうか?同じDNAに由来するのだから、共生というよりも分業だろうが、
生命は進化する過程において様々な機能をアウトソーシング(分業、委託)を行っていっている。
ミツバチがいなければ受粉さえも出来ないというのはどういうことだろうか?
セックスを別な種に委託じているのである。
種を遠くに運ばせたり、米やトウモロコシは人によって地球上に広く分布している。
「征服者 マーク・クリフトン 遺伝子は世界を自己で満たそうとする」
また、必要な機能を取り込んでいっている。
まさにDNAのM&Aである。昨今の遺伝学は生命の生き残りのための『適応(進化)戦略』を明らかにしている。
さて問題は、その生命の舵取りをするCEOがいるのだろうか?
欲深い株主は何処にいるのだろうか?
注2 : 白衣の欺瞞と僕は呼んでいる。
どうすれば良いのかと聞いたならば、医師は「免疫力を高めれば良いのです」と答えるだろう。
温かい風呂にゆっくり入れとか、オメガXXのオイルだとかサプリメントだとか酵素だとか、「最新の研究によれば」とか言う。
しかし、「免疫力」と言う言葉自身が明確な定義も何も出来ていない単なる仮説でしか無いのである。
「愛の力」「親の因果」「神のご意思」どれと入れ替えても、白衣をありがたがる私達には同じ効果である。
自分で現実に向き合わなければならない。
参考文献
「実験医学 2016年4月号 明かされる“もう1つの臓器" 腸内細菌叢を制御せよ!」
この雑誌などは色々と記事があるが、あくまで「人体」にとって役に立つとか立たないという観点から見ている。
まあ、医療研究者にとってみたら創薬こそが飯の種なんだからしょうがない。
患者の観点から見ることで、もっと大きなビジネスに繋がると思うのだが。
実験医学 2016年4月号 Vol.34 No.6 明かされる“もう1つの臓器" 腸内細菌叢を制御せよ! 〜宿主との相互作用のメカニズムから便移植の実際、バイオベンチャーの動向まで
- 作者: 福田真嗣
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「土と内臓」
は面白かった。
毎年、竹の子を掘りに行く。山の斜面は根が密集して、土か根かわからないほどだ。
竹以外の植物も多く、落ち葉が積み重なった土は実に豊かになっている。
雨は根の間に保持されるのだろうか、土はいつもしっとりとして、日差しは高いところの葉に遮られて、夏でも涼やかである。
そんな風景を思い出した。なかなか面白い本でだが、免疫に対してもう一捻りあっても良いようなきがする。
- 作者: デイビッド・モントゴメリー,アン・ビクレー,片岡夏実
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「双子の遺伝子」
遺伝子研究の本なのだが、マイクロバイオームに関しても面白い記述がある。
ピロリ菌が生命にとって必要なのではいあかなど、面白いことがたくさんかかれている。
素晴らしく生き生きとした記述があったのだが、見つからない(笑)。
- 作者: ティム・スペクター,野中香方子
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