原因の明確な病気の時代 「治療メソッド学」の研究

かつての病気は原因が明確だった。

結核狂犬病、梅毒、ペスト、コレラ赤痢、らい病、天然痘感染症といわれ、特定の細菌が敵として特定された。
これらの病気は特定の細菌(ウイルスの場合もある)が引き起こし、特定の感染症状を持つ。

また、どこにでも居る細菌によって炎症や腐敗が起こされるものも有る。
風邪、炎症系の疾患(肺炎、脳膜炎、壊疽、産褥熱)と言ったものがある。(注1)




そして問題は、僕の専門分野である「生活習慣病」である。

生活習慣病に対してのメソッドが「かつての感染症と同じであること」が問題だと考えている。

この時代の勝利の記憶が、生活習慣病に負け続けている原因である。

生活習慣病に、あたかも、特定の原因があるかのように対策を講じようとしている。
しかし、生活習慣病というのは「将来に災厄をもたらす可能性の高い『現象・検査値の異常』」を指しているのである。

『現象・検査値の異常』は生活の結果であって、「将来に災厄の原因」ではない。
問題は「生活の結果」に有るのではなく、患者の行動に有るのだから、『行動を変える』ことが治療なのだ。




そう考えると、医者には予防はできない。
検査値を「無理やり正常」にしても生活が変わらなければ何も解決はしない。



治療が可能となった所でできる範囲の治療をする他無い。
ここで言う治療とは「破壊的治療」でしか無く、「元に戻すと言う意味」の治療ではない。(注2)



医学の「食事指導」は人の心が分かっていない。
しかし、『心は檻(オリ)に入れられない』問題はそこである。






自由に生きることは決して貪欲に欲望を満足させることではない。
多くの宗教が「貪欲を戒めている」のは面白い。

僕は、行動の規範を見つけたいのかもしれない。




しかし、酒をやめられない。

昨晩は少し少なかった。







注1)
産褥熱で、多くの女性が亡くなったことをすっかり私たちは忘れてるが、施設分娩での死亡率はかなり高かった。
今見つからなかったが、「外科の夜明け」と言う本を昔読んで、おそろいたことを覚えている。

医学というものが、いかに時代性を持つか良く分かる。
昔の常識を笑うのは容易い。
しかし、今の僕達の常識はどうだろうか?

「外科の夜明け」に詳しい。
この本は面白い。


外科の夜明け (講談社文庫)

外科の夜明け (講談社文庫)



注2)
破壊的治療
眼底網膜症でレーザー凝固を行うように、新生血管を焼き潰すことで眼底内への出血を止めて視力の低下を止める。
腎不全に対しての透析。
糖尿病に対してのインスリン(早めに始めると膵臓の機能が戻るといわれるので議論の余地は有るが、膵臓の機能が戻るくらいの軽い場合は食事療法で良いと思っている)。
壊疽に対して四肢切断。

いずれも命を救うためのものだが、取り返しはできないことになる。






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