糖尿病の恐ろしさ。糖尿病は人間関係を破壊する。

僕は30歳台からの糖尿病患者で、いくども治療を初めては、止めてを繰り返し55歳になる。

いま、糖尿病はとても恐ろしいものだと言うことを理解できた。

糖尿病は人間関係を破壊する。


合併症も恐ろしいが、糖尿病は合併症があらわになる以前にその凶暴な牙をむく。

現在の糖尿病を取り巻く環境はこの『凶暴な牙』を明示的に理解してはいない。


しかし、糖尿病に対する恐怖は私達の精神を蝕み、様々な人間関係を確実に破壊する。

患者を一番愛している家族と憎しみ、家族も患者を憎む。

自身を嫌悪して病を隠し迫ってくる合併症の恐怖に怯える。

守れない掟を押し付け、病の進捗を告げる医師を憎む。

恐怖からは人間は逃亡しか選べない。

僕の25年間はそんな年月だった。



自己血糖測定は自分の血糖値プロフィールを知り、糖尿病を向き合う武器なのだ。
自分の中の弱さという敵を乗り越えて、糖尿病という自分自身とともに生きることを可能とする。



僕は今、自由になれた、家族との関係も良好だ。
そして、初めて、今までの関係がいかに「糖尿病」に傷つけられてられてきたものか理解できた。

何人もの医師、看護婦、栄養士、と出会い、失望したことだろうか。


もっと前に進みたい。
言葉で誰かに説明できるように成りたい。

もっと考えねば。


今年は哲学者になる年だった。
なれたような気がする。



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