『幸運な病のスタディ』(20) 利己的(自分勝手)な細胞(1) 食事で死ぬまで元気
「まとめ・趣旨」はこちら。このシリーズはこちら。再生リストはこちら。
1974年、「利己的な遺伝子」という著作で(僕の最好きな)ドーキンスさんは生命は「DNAの乗り物」と論じた。
僕は生命は細胞のコロニーである。
卵子と精子に由来するDNAをもった「私細胞」が乗務員の客船である。
乗っているのはマイクロバイオーム(細菌やウイルス)である。
生命は「マイクロバイオームの乗り物」なのだと言いたい。
この客船は根を持ち光合成を行う植物と(動けない)移動づる手段を持ちながら、光合成を行うことの出来ない動物に別れる。
しかし、単にコロニーの形が違っているだけである。
コロニーに住んでいる小さな生命たちは「多くのものややルール」を共有している。
そしてコロニーはマイクロバイオームが操っている。
死とは何であろうか?
20歳くらいまでは、細胞は「死ぬ数より」も「生まれる数」のほうが多い。
成長とは、細胞の「生」が「死」を上回っているのだ。
20-40歳くらいまでは細胞の「生」と「死」は拮抗する。
そして40歳を超えるくらいから、徐々に死が生を上回っていく。
60歳くらいから明らかに細胞は新たに生まれることができなくなり、やがてコロニー全体は死を迎える。
ではなぜっ細胞は死ぬのか。
細胞は常にエネルギーを水素を利用してATP=ADPのリサイクルを行い続けなければ死ぬ。
ミトコンドリアは酸素を利用して、水素を安全な形で利用している。
しかし、活性酸素が生じて、細胞のいたるところを破壊する。
つまり、細部は壊れることが前提になっている精密機械なのである。
そして、細胞はDNAを「維持し、伝え」ていく。
細胞にとって死は当たり前の一つのプロセスなのである。
破壊された細胞は次の生の材料として使われるのである。
20兆個の赤血球は120日で破壊される。
5リットルの血管の中から抜け出さない様に密閉されて肺でガス交換をして身体を回る。
120日で20兆個が破壊される。つまり、1秒で120万個の赤血球は生まれ破壊されている。
1日 | 1600億 | 20兆÷120日 | 166,666,666,667 |
1時間 | 620億 | 1600億÷24時間 | 6,944,444,444 |
1分 | 1億1500万 | 620億÷60分 | 115,740,741 |
1秒 | 190万 | 1億1500万÷60秒 | 1,929,012 |
皮膚や粘膜、胃壁、腸壁は常に劣化しながら滑落し続ける。
毛髪は死んだ後も伸び続けるという。
身体というコロニーにおいて細胞の『生と死」は日常的である、
死んだ細胞の部品から新たな細胞が生まれる。
免疫は身体を守ってはいない。
意思も自己他者の区別も持たない無慈悲な壊し屋でしかない。
では、どんな食事が「ピンピンコロリの人生」を生んでくれるのだろうか?
それが問題である。
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
- 購入: 27人 クリック: 430回
- この商品を含むブログ (197件) を見る
1154117