バーンスタイン医師の糖尿病の解決
2015年5月24日に購入した。
定価は3800円だが、すでに絶版となっているために6001円(送料込み)だった。
最初に読んだ所でまず驚いて、ブログに書いた。
Dr.バーンスタインさんは、まさにアメリカの糖尿病の治療を変えた人物である。
彼のプロフィールを読んだ時に思わず涙ぐんだ。
彼は1934年に生まれ、1946年に12歳で発病した1型の糖尿病患者である。
30歳台に、合併症に悩まされて、死の恐怖と闘っている時に「血糖値自己測定器」と出会うのである。
1日に何回かの測定で、ジェットコースターのように血糖値が上下する事を発見する。
ここからが、彼の凄いところである。
エンジニアというのは『「現象」と「原因」をむすぶ仮説』を通して現実を変えようとする。
エンジニアである彼は、「血糖値を正常範囲内に維持する」と言う目的を実現するための仮説を立てることを考えたのである。
糖質だけが血糖値(blood sugar)を上げたり下げたりする。炭水化物の摂取量を変えなければならない。
インシュリンは血糖値を下げるが、細かく管理しなければならない。
ADA(アメリカ糖尿病学会)は2007年に大きくこの主張を取り入れる。詳しくはこちら。
食事と投薬、そして運動が強く関連していることを見つけるのである。
今の私達(学んでいる人たち)なら当たり前に思うことであるが、当時はそうではなかった。
人体は単純な機械であって、インシュリンという人類の英知が、その単純な機械をコントロールできると信じられていた。
そして、患者は医師にとって、投薬の対象でしかなかった。
「インシュリンの発見」の中では、インシュリンという特効薬が作られたために、多くの問題が発生したという。
確かにインシュリンは不治の病から治療可能な病に変えたが、血糖値という数字を計り、その数字に対してインシュリンを与えると言う機械的な作業となったのである。
本来各患者ですべて異なる「血糖値プロフィール」を明確にして的確な投薬が必要なのにそれが成されていなかったのである。
これは現在の治療でも同じ様に指摘される問題である。
患者は、血糖値の数字を表示するものではなく、その血糖値の奥底には、その患者の人生があり、尊重すべきライフヒストリーがある。
ところが、医師も看護婦も、この患者は意地汚くて我慢できないやつだから「糖尿病などという病気にかかっているのだ、いくら言っても、腹八分目さえもわからないのだ」などと思うのである。
患者は、「偉そうにベンツ乗り回しやがって、まともに治せもしない。どうせおれの事馬鹿ににしているんだろう。」と思うのである(笑)
患者の生活を知り、ライフスタイルに合わせた投薬の指示などというものが「5分間の診療」の中で出来るはずがない。
自分自身だけが、(自己血糖測定器を持つことにより)実現することが出来るのである。
『患者の協力が治療に不可欠である』などという本末転倒なことを書いてある本がある。
患者は病の入れ物なのか?
病は患者自身の問題では無いのか?
病を治すことが患者自身の人生を否定してまでも、直すことが本当に患者の望みなのか?
患者の幸せを実現することが医療の目的ではないのか?
糖尿病の治療の場においては顕著であるが、マニュアルに従って薬出すことがプロの医者なのだというのはおかしな認識である。
医療に専門家はいらない。
患者に共感して、ともに生きることの出来る人間が必要である。
Dr.バーンスタインさんは自分自身が生きようという気づきがなければ決して生きることが出来ないという事を自分の人生で実証している。
自己血糖測定機という武器を得て、一つ一つのイベントに対しての血糖値に対する効果を図ることが可能になったから、出来たことだった。
数年の後に、「低炭水化物」+「自己血糖測定」+「インシュリン投薬」の組み合わせで多くの合併症から開放される。
自分の体験を論文として発表するが、医師達は全く彼を無視するのであった。
自分と同じように苦しみながら、医師のマニュアルに従った治療で命を落としていく仲間たちを見捨てることが出来なかったのである。
自己血糖測定が、医師の利権(技術を独占することで得られる利益:既得権益)を奪う可能性のあることを彼は理解していた。
ここからが、また、彼の凄いところである。
医師になろうと決心するのである。45歳の時である。
「私は医師を負かすことが出来ない--だから彼らと一緒にならなければならない。」(バーンスタイン医師の糖尿病の解決:P18より)
1983年彼は医師として開業する。
今現在お元気で、多くの患者と共に生きている。
最近のwebはこちら。
異端としていきた彼の体験と主張は、多くの糖尿病患者に支持され、世界のあり方を変えている。
しかし、この本は実にすごい、糖尿病のあらゆる知りたいことが書かれている。
最新の研究が書かれている。
血糖値って英語だと、「blood sugar」っていうことを最近知った。
何とも、ストレートで、ゾクゾクする響きがある。
絶版となっているのが残念である。
簡単に買えるようになればいいのになあ。
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バーンスタイン医師の糖尿病の解決 第3版 日本語版―正常血糖値を得るための完全ガイド
- 作者: リチャード K.バーンスタイン,太田喜義
- 出版社/メーカー: 金芳堂
- 発売日: 2009/12
- メディア: 単行本
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- 作者: マイケルブリス,Michael Bliss,堀田饒
- 出版社/メーカー: 朝日新聞
- 発売日: 1993/05
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