ISISの問題、価値の共有の問題、国家の役割の問題、社会の格差の問題、そして宗教。

多くの文明は崩壊する。

ローマも、秦も、エジプトも、今は失われた多くの文明の痕跡がある。
いろいろな論者はその原因を語る。


僕は、文明(コミュニティ)と言うのは共通の価値を持つ人間の集団が協力して築くものと思っている。
共通の価値の根源は「平等」である。
その「平等」を守るために自由が保証される必要がある。
特に表現の自由は重要である。
言いたいことを言うことの自由が無ければ、誰も不平等には気が付かない。



私達は多重的にコミュニティに属している。
親子、家庭、拡張家庭(夫婦+子ども+おじいちゃんおばあちゃん)、学校、地域、拡張地域(選挙制度・行政単位での区割)、国、文化圏(宗教・習慣など)、世界、自然


人はコミュニティに属するとともに、それを守るための機構も持っている。
コミュニティを維持するのは、
同じコミュニティに属しながら、その価値を共有しないメンバーを排除する論理である。



問題は、
1)利害関係や地理的要因で「ともに生きること」を回避できない人間同士の軋轢。
2)共通の価値観が幻想で有る状態にあり、そのことに気がついた時の確信犯的コミュニティへの破壊行為。
この2点である。





かつて、国家の役割は国民が平等に扱われることであった。
いくら働いても、将来に夢が持てない、家庭すら持つことが出来ない状況は個人を絶望させる。



今自分が属している社会が格差を助長することしか出来ないとき、その社会は崩壊する他無いのである。
ローマ帝国が、一部の既得権益者の利益しか見ることができなくなった時、キリスト教が崩壊させたようにである。







ISISという存在が今年は大きな問題となった。
共通の価値を彼らはうちだしている。
日本でも、共感する人々がいる。
彼は恐らく平等な社会を夢見ているのだろう。
共感する人々が、それぞれの国家でテロを起こしている。

ヘイトスピーチも同じ根を持つ。
朝鮮人出て行けと叫ぶ人」に「ヘイトスピーチを止めろ」と行った人。
ヘイトスピーカーはそんな人に「おまえなんか日本人じゃない」といったそうだ。

なんとも複雑な構造である。

価値を決めるのは人、個人そのものである。
ヘイトスピーカーの価値と僕の価値は共通にはならない。
どうすれば。共通の価値を持つことが出来るだろうか。
ナチスドイツのように、異なった価値を持つ人間を黙らせればいいのだろうか?
PTA三役会で僕を黙らせた校長のように……………..


十字軍の昔から、宗教は人々の価値を生活のレベルに保持刷っる力を持っている。
僕らは宗教を超えた共通の価値を見出すことが出来るのだろうか。
生活を維持するために他者を犠牲にするのは悪いことと思いながら、生活を失うわけには行かないのである。


僕はISISを肯定することは出来ないが、現在の国家の制度を肯定はできない。
現在の国家の制度、アメリカの民主主義、にも問題が有るのだ。

軍需産業は、他国の国民の血を求めている。
ISISだって軍需産業のお得意様なのだ。

「この右手と左手の一人じゃんけん」をなんとかしない事には皆消えてしまう。



「民主主義は最悪の制度だが、それ以上のものはない」というチャーチルの言葉を思い出す。
より良い民主主主義にするためには官僚が自らの問題として行政を見つめることである。
残念ながら、望み薄である。

「劣化国家」と言う本を読んだ。面白かった。

民主主義という仕掛けは、すでに崩壊を始めている。
指揮者は選挙に行くように論じるが、選挙が何も変えないならば、誰も行かなくなる。


来年はどんな年になるだろうか。

私達は共通の価値をコミュニティに見見出すことが出来るだろうか?
コミュニティはそんな仕掛けを作り出すことが出来るだろうか?

僕は何を出来るだろうか?


今年最後の思いである。



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文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

劣化国家

劣化国家