ハチワンダイバー(3)ニコガミの壮絶人生

ハチワンダイバー 28 (ヤングジャンプコミックス)

ハチワンダイバー 28 (ヤングジャンプコミックス)


ヤクザの代打と言うのは、すげえ世界である。本当に有るのかどうかは分からないのだが、この物語の説得力の根源である。
大金が動き、負けた方の指し手は命をとられる。勝ったら大金が入る。

鬼将会という集団が登場する。将棋の代打ちをする集団なのだが、この漫画の迫力に納得してしまう。


雀鬼会(麻雀の代打ちの集団)にインスパイアされていると思うのだが、相当にすげえ集団として表される。

ニコ神と呼ばれる老人が出てくる。神野神太郎(じんの しんたろう)というのが本名で若いころアマチュア名人となってスガタボーイはそよに導かれて出会う。

ニコ神は鬼将会の創設期に鬼将会に対立した男である。

ヤクザの代打ちで負けて自分の命を取られるところ、必死に命乞いして、ホームレスとなり生き続ける。
やがて、彼は「マムシ」と呼ばれている真剣師と出会い(スガノボーイが引き合わせる)彼により鬼将会の鬼との対戦(絶局)を語り継がれることになる。


ニコ神は人生の敗残者として登場するが、決して人生に負けたわけでないことを語る。

素晴らしい。

彼の存在は、僕らの世界と隔絶した真剣師の世界を橋渡ししている。
一つのことに人生をかけた存在が、それを失いながら愛し続ける姿。

それこそが美しい。

『将棋マンガ』というジャンル(?)の漫画だと思ってはいけない。

フィクションは、ありえない世界を描くことで普遍的な人間を描く。


290516


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