幸運な病のレシピ（ 452 ）朝：妻が作った目玉焼き、みそ汁、昨日の残り - 日々の糧としての写真 A LIFE LIVED IN FEAR IS A LIFE HALF LIVED

今日の食事が死に方を決める、明日の食事が生き方を決める。
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【 2018/5/15の食事】
昨日から仕事が詰まっていた。夜半から明け方まで最後の詰めをして朝にはサーバーに評価版をアップした。一段落である。
くたびれていたので、妻が料理を作っってくれた。

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いつも僕が作る目玉焼きは生っぽくて、嫌いだと言っていた。いつの間にか、面倒になって、文句も言わなくなった。
今日は作ってくれたのだが、半熟加減が絶妙であった。彼女の小さい頃、お母さんが作ってくれたやり方だそうだ。
たしかに旨い。

少し作っているところを見ていたのだが。ターンオーバーさせるのかと思っていたのだが、そうでもなかった。

昨晩のカツの卵とじも彼女流で、僕のやり方と違った。やはり違った味で、面白かった。
食べ終わった皿をマユが狙っていた。

2015年に全ての厨房仕事をやってみようと思ってから僕の大冒険は始まった。

それまでは、料理を作ることはあったが、後片付けは妻がやった。
なにか作っても、口にあわないと嫌がられたり、中心部が「生」だと言われては、そのくらい食べることができると言い張ったりしていつも喧嘩の元だった。

食洗機も入れ方が悪いから汚れが落ちないと怒られて、何度も洗い直しがあったり、大変だった。

あなたがやると面倒だから、お願いだからやらないでくれと何度言われたことだろうか。
子どもたちも、おおよそ妻の味方だった（笑）。

そして、2016年1月5日、母が亡くなり、父の食事を作るようになった（それ以前から作ってはいたが、全面的にではなかった）。何とか、父に元気になってもらいたかった。

食べる人の事を考えて、作るようになっていき、家族も不満を言わなくなってきた。

皿洗いや後片付けを続けるうちに、「衛生観念」というものがいかに深く私達の行動を制御しているかに思いが及んできた。
皿洗いや、調理のプロセスにおいての衛生観念は、一番敏感な人に合わせなければならない。
決して理屈ではないのだ。

厨房仕事がいかに大変で高度な技術を要するかを知った。

そして食べるときも、作ってくれた人を「評価」してはならない。
レストランや、おふくろの味と比較したら劣って見えて当たり前である。

比較された方も、ケチつけられるくらいならスーパーの弁当チン下食わせたほうがいい。
しかし、「商品としての食事」は常にコストと競争している。
グローバリズムという「新自由主義」の食卓は、否応なく、嗜好品に偏らざるを得ない。
嗜好品（炭水化物、アルコール、セーフティでないセックス）は程々にするというルールが有ることに気がついた。

この考察が、マイクロバイオーム論と結びついて次の本が行けそうな気がしてきた。

多くのレシピ本のコンセプトは「こんなに簡単」「誰にでもできる」なのだ。しかし、これほど料理を作る人を馬鹿にしている言葉はない。

料理は「難しい」し「大変だ」し「責任重大」なのである。
けど、「作るだけの価値がある」と僕は考えている。
それも、「専門家の言いなりに作る『栄養満点』の料理ではない」なにせ、そんな料理を食べさせている栄養学が「生活習慣病」を蔓延させた。

栄養学者・医者・栄養士・看護師・薬品メーカー・お役人・アグリビジネス、等々、利害関係者の皆さんもよく考えてもらいたい。
70〜80歳になったら、どんな人生がお望みだ？

あなた方が気が付かなければ世界は変わらないのだ。

栄養を取るために食事をするのではない。
共に生きて、長く健康に生きるために食事する。
そんな願いが食事の意味なのだ。

父の朝食。
食べ終わったら父が起きてきたので僕が目玉焼きを作った。直子流には出来なかった。
僕らの喧嘩の原因は、半分が「父と母」残りの半分が「子どもたちの教育」そして「僕の糖尿病」だった。今でも喧嘩は耐えないが、妻は父を可愛いという。一緒に生きることは目的ではない。プロセスであって、やがて喜びとなる。そして自分の30年後を写す鏡でもあるのだ。そんなことに気がつけた僕は幸せである。