国体のお仕事 システムは『人』である。
ScorDogTOMという国体ゴルフ競技の集計システムの運用を始めて今回で5大会である。
今回は9/26〜10/2まで一週間出張であった。
皆には「楽しいだろうね」と言われるが、この仕事は6月くらいから始まり、8月の抽選会があり、開催期間は猛烈なプレッシャーである。
僕は何でも楽しむから確かに楽しいと言えば楽しいのではあるのだが........
ようやく、何が重要か分かって来た。
3つのゴルフ場で同時に競技が進行->集->賞状を印刷->閉会式を迎える。
当然の事であるが、各ゴルフ場で仕事をするのは市の職員の人たちである。
最初は集計のシステムが重要と考えていた。しっかりとしたシステムを作り使ってもらえばいいと思っていた。
しかしそれ以上に重要なことが有る事を実感している。多くの場合「誰でも使えて、簡単に入力、出力が出来て、同じ結果が出る」システムを求められる。
しかしこれは大きな間違い(当たり前の事であって)である。というか、それだけでは充分ではないのだ。システムにおいては、「人」が重要である。
誰が、どんな状況で使うのかという事が重要!!!国体の記録室業務は、複雑で、多くの外部とのインターフェースが必要になる。そして全員が始めてである。
この全員が始めてという所が大問題である。
開発側(私)と運用側(市役所の職員の方々)で『いかに信頼関係を確立するか』という事である。一般化すれば「いかにシステムを導入するか」と言い直すことができる。
運用は何かあった時に、全ての責任を負わせられる。
作ったのが開発なのに、フェアではない。だから、僕が運用の全ての責任を負う事を最初に明言する。
一体のチームとなれた時、必ず成功する。
時間で仕事をするのではなく、結果で仕事をするのである。
『7000行以上perlとjavascript』(プログラム)+『100近くのレイアウト&大量のCSS』からなる構成されている。そして、このシステムには確実にバグが有る。これだけの規模のシステムでありながら、5年の運用と行ってもまだ5×2=10日の実稼動日しか無いのである。おまけに、数年毎にルール改正にともなう変更が発生する(これは思ってもいなかった事である)。考えれば考えるほど、凄まじいものである。
しかし必ず乗り越えなければならない。
国体ゴルフ競技の賞状をだすシステムは特別な困難さがある。最後の一人がホールアウトするまで順位が決まらないのである。トーナメントである多くの競技は前日までに順位が確定している。予選をおこなう事で絞る様な競技もある。大量の参加選手(141+141+84=366)が一気に競技して順位を出すなどというのは正気の沙汰ではない。国体ではクレー射撃とかウエイトリフティングなどが同じ様である。
スコアが記録本部に上がってくる。入力して成績を確定する。
確定後に競技委員長にサインをもらう、賞状を印刷して式典係に渡して、速やかな表彰式を行うのである。
賞状は団体8×5=40 個人8×1=8が最低必要になる。枚数は流動的である(例えば8位と同スコアの県が5つの場合は12×5=60枚になる)
TOMはこれを15分でこなす。
大事な事は、各会場で仕事をする市職員のチームが自分たちで判断して動ける様になる事なのだ。
僕の役割は、最初の講習会で初めて会った職員の人たちとチームなる事なのだ。
そして彼らには、複雑で多岐にわたる業務を伝え、自分たちにエンジンを持たせて進む様になってもらう事である。毎年始めてであった人たちと一つのチームになる。この最初の講習会が一番大事である。
アウエイでの試合の様なプレッシャーがある(笑)。どこのどいつが講習するんだという感じで市の職員の人たちが待ち受けている。
僕のテンションも最高に高くなっているのである。2013/9/27実施された講習会の様子はこちら。
講習会が終わった頃にはしっかりと一つのチームになっている。
八王子大会のマニュアルはこちら。
今回のマニュアルは時間(一週間位)かかった。毎年状況は変わるので毎年作り直す。
今年は、手集計と言うゴルフで使われる昔からの集計方法を市側で行った。(例年は県の連盟側で行ってもらっていた。)
信頼関係を築くにはマニュアルがしっかりしている事が一番重要なのだ。
見てもらえば分かりますが、システムの画面の機能など大して書かれてない(画面を開けば分る)。システムはこちらから御覧下さい。
『どこと、どういう関係にあるのか』、『いつ何が起こるのか』『その時何をすれば良いのか』が記載されています。
運用の不安を解消するのが大事なのです。運用スタッフの心をシュミレーションして作るのです。
業務の中でのシステムの役割を明確にするのがマニュアルなのです。(これは僕の信念)
【長い出張がここから始まる】
講習会 「直前講習会」 始めて現場に入る職員と顔合わせ
この日が一番きつい!!
予備日 会場になるゴルフ場を回りロケーションの確認
少し時間的な余裕があるが、心理的には何も余裕が無い日である。
監督会議 マシン搬入、選手変更締切->データ確定などの重要なイベントがある。
【この後の3日間各会場午前中にまわる】
徹底したシュミレーションを行うのである。
公式練習日 手集計、賞状印刷の練習、入力の練習を行う
競技1日目 全体の流れの通した練習
今回はこの日にデータが一回クラッシュした。
競技2日目 賞状をだして、無事終了となる
毎年、皆と記念写真を撮る、もう2度と会えない事を僕は知っている。
そして彼らは忘れられない戦友となる。皆でエア乾杯をした(笑)。
賞状の印刷が始まる頃には放心状態である。
考えてみれば、毎年システムの導入を行っていることになる。
システムはユーザーと一体になって始めて機能するのである。
いかに使われるシステムを作るのかという問題に対しての答えでもある。
エンジニアの経験として大変勉強になる。毎年の国体は僕にとっての学びの場である。
そして僕はこの仕事が大好き。
5年前に始めた時はこんなになるとは思いもしなかった。
ずーっと続けたい。
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