松田道雄先生の「育児の百科」と言う本はいい本である

定本育児の百科 (岩波文庫)〔全3冊セット〕

定本育児の百科 (岩波文庫)〔全3冊セット〕


マユという名前の子どもが我が家に来た。
ミニチュアダックスフンドの可愛い男の子なのだが、少し子どもたちの赤ん坊だった頃を考えた。


初めての子育てをした時に、松田道雄先生の「育児の百科」という本を読んだことを思い出した。

実に素晴らしい本であった。

育児書はたくさん買った。
MOOK本からそこそこの厚さの本までも買ったのだが、いずれも厚生省の言い分を書いているだけで、面白いものではなかった。
初めて子どもは不安でしょうがない。
医者と製薬会社の言いなりである厚生省の言うことを聞けばいいわけがない。




例えば離乳食である。

マナの離乳食の時期で意見がわかれた。
僕は遅いほうがいいという立場だったが、あの頃は早く始めたほうがいいという考え方が主流だった。
『歯が生えたらすぐに始めないと駄目だ』という考え方である。離乳食を早く始めれば、それだけ早く成長すると考えるのだ。

親のために離乳食を始めるのではない、子どものために離乳食は始めるべきだといつも言っていた。



松田先生の意見は、「子どもが楽しむかどうかが大事だ」ということなのである。

6-7ヶ月目の章を読んでみると、赤ん坊が家族の中に入ってくる時期と書かれている。
赤ちゃんに、表情が生まれ、人生の楽しさを分かるようになってくる時期なのだ。
####以下引用#####
........ところが、赤ちゃんに楽しい人生を用意しようとしないで、義務の人生を押し付ける母親が多い。
早く離乳しなければならないという義務感に明け暮れする母親である。............赤ちゃんに今日はどれだけ楽しい思いをさせたかを考えない。...............歯がしっかりはえ、自由に歩けるようになるのは、満1歳を超えてからである。それまでの期間に練習させればいいのである。


最近は、離乳食の開始時期は遅い方がいいということも書かれている本やwebも多い。

しかし、松田先生の視点にはかなわない。


別な本で読んだのだが、腸が十分に成長(吸収を選別できない)していない時点でタンパク質を与えることは体内にアレルギーのものを取り込むことになるのだ。僕はその説に賛成である。



最近、面白かったのは、犬の場合、幼犬用のドックフードの存在である。
幼犬である間、母犬は半ば消化した食べ物を吐いて与えるという。
それのシュミレーションだろうか。
10ヶ月〜12ヶ月はそういう食事なのである。






余談だが、小学6年の下の子にたいして、(今でも)おばあちゃんは「たくさん食べさせないと大きくならない」という。
僕は「体が大きくなろうとするときに沢山食べだすのだ」という。この差は大きい。

人は皆自分のスピードで行きている。
生まれいつか死ぬ、その場所を選ぶことも、いつかということも知ることは出来ない。

自分自身で選べない赤ん坊を、その子の心を中心に考えてあげる視点はとても重要だ、
松田道雄先生はその長い医師としての人生の中で深い洞察を得たのである。

この本から、その洞察が感じられる。

名著である。

子どもを育終わってからでも、素晴らしい言葉を与えてくれる。


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母は食べ物のない時代に育ち、同じように食糧事情が良くない中僕を育ててくれた。
子どもの食べさせることが難しかった時代に生きたのだ。

そのことを考えれば、そのとおりだと思う。
そして母に感謝することを忘れることはない。






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