仕事の段どりをしていたら、数珠のことを思い出した。
仕事の方針が決まったので、深呼吸して一気に飛び込むのである。
こういうときに思い出すのは、傾いたタンカーの中に閉じ込められたダイバーを助け出しに言った男の事。
まあ、プログラム書いても命取られることはないがな。
そう言えば、彼はママにロザリオを買った。
仏壇屋さんには堆朱で彫り込みの入った数珠が置かれている。僕はそれを贖い、娘に残したい。僕がいなくなったときに手を合わせてもらいたい。
母が亡くなったあとの東京出張で、数珠を買った。
2万円くらいしただろうか。この写真に写っている。
くげの木で固く、彫り込みが入っているものだった。
父に送った。
父が要らなくなったら僕が継ぎ、やがて息子に渡る。
そう考えたら、良いものが欲しくなったのだ。
最近は、父もすっかりと落ち着いたようで、線香を上げることもまれになっている。
僕も、写経は最近していない。それでも時折、般若心経を口ずさむ。
こういうものなんだろうなあ。
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