松居一代さんに関する社会の反応を考える (2)手のひら返しの論調
不倫が発覚した場合、妻の言い分は聞かれ、夫はコミュニティから処罰を受ける。
ところが、ある程度まで処罰が完了すると沈静化する。
それを過ぎると、今度は妻の方を処罰し始める。
そのメカニズムはもう妙でかつ構造的である。
これは、私達のコミュニティが2つの異なった価値を持っていると仮説できる。
群れにとって「子供の数」はその群れの力を意味する。
何せ子供は、「戦力」であり「食料」なのだ。
外部の群れと戦う時、飢餓が進み餓死の危機の時、子供は役に立つ。
なので、不妊は大きな問題である。
男性が原因の場合、夫でない雄がセックスをすることは群れにとっていいことである。
と、同時に「ハーレム型」の群れは逆に群れの拡張を妨げた。
「子殺し」を防ぐために「一夫一婦制」は維持されたという。
なので、妻と夫は互いに他のオス、メスとセックスをしながら知らない顔をするというのが合理的なのである。
人のセックスに関しての構造分析は、ジャレッドダイアモンドさんの著作に詳しい。
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つまり、表向きは「一夫一婦制の維持」その内側は「見つからなければ、他のメスとのセックスをドンドン励んでいい」という2つの面があるのだ。
セックスは「人間関係というパワーゲームの通貨」だから、一回寝ると雌は雄(またはその逆)に対価を求める。
「欲望に対する充足」が価値であるからややこしい。
いつの時代もトラブルのもとは「色と金」である。
芸能界でのスキャンダルの推移は分析すると面白い。
ここ数年の傾向や事例にはインスパイアされる。
ベッキーや渡辺謙、アイドルの色恋沙汰(「恋愛禁止」とは言うがその実は「セックス禁止」であり、「性欲禁止」というところが面白い)。いずれも社会の受け止められ方が面白い。
松居一代さんの事例は、ファーストステージが終わり、セカンドステージである。
見事に妻側の味方だった風向きが、夫側の味方に変わってきている。
『もういいだろう、そろそろ許してやれよ』と言いたげである。
何も打ち合わせもなく、これが起こるのは面白い。
しかし、問題は、被害を受けた側に謝罪がないところである。
これは、私怨となって一生消えることはないだろう。
和解や寛解はなさそうである。
アリストテレスの妻は悪妻と名高いが、もしかしたら裏があるかもしれないと思う。
歴史上の人物で恐妻家とか、妻が悪妻とか言う人達のインサイドは何だったろうか?
僕の大好きな井上ひさしさんの奥さんも悪妻で名高い。
どうだったんだろうか?
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魯山人さんの書は良かった。
色々と考えさせられた。
鮑のうつわである。
いいなあ、しかし意外と大きいものだった。