家を失うと言う事

人間と言う生き物は、地上1メートルの姿を持ち地下50メートルの根を持つ。

共に生きる事で「根」は、互いに絡み合い、結びつき、心を通わせる。

既に失った肉親と生きた記憶は、その土地に根となって絡み合い、その土地に生きている。

植物は地上の姿を失っても根は残り太陽を求めまた新芽を出して行く。


人は、地上の姿を失っても、数多くの人の根に姿を残して行く。



生まれた家、風景、隣に住む人、皆重要な自分の一部である。

都会で暮らす1組の男女の場合と比較すると良い。
そして、彼らもその地に根をはり、新たな根を持って行く。


世界各地での紛争は多くの難民を生む、彼らの姿を見ると身を切られる様だ。
自分の根が有る土地から引き離された苦痛は何物にも代え難い。


津波は、まさに根こそぎ人々の生活を奪った。
その地は全く姿を変えてしまっている。

実家の池の回りの岩肌には苔が生えて、その上に根が有る植物がついて、岩にしがみつきながら生きている。
僕はその姿が大好きだ。

植物の種は落ちた所に根をはって生きようとする。
何年も経って岩はその姿を変えて行く。




原発は多くの難民を生んだ。
そしてもっと問題な事は、今後何十年もその土地に帰れなくなったと言う事である。

被害に有った人々に取っては、「想定外」などと言う言葉では許されないのである。




政治家やマスコミはもっと重く受け取らなければならない。

どうして、ああいう風に他人事なのだろうか。




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