「戦争のはらわた」には驚いた、「ガルシアの首」や「わらの犬(1971)」にも驚いた、もちろん「ワイルドバンチ」にも驚いた。ペキンパーさん最高だ。

年忘れ映画大会であった。
ペキンパーさんの映画は、「レイプ」という関係性の中で起こる「欲望の表出」を描いている。
今見直すと、彼の映画は、「暴力というオブラートで包んだ男と女の関係を描く抒情詩」に見える。
異常な状況に落とし込まれた当たり前の「ヒト」の行動は異常に見える。


しかし、誰であっても、そんな状況に落とし込まれたらそうなってしまうのだ。
それを異常と見るか、私たちの姿の一つの表れと見るかは大きな差である。


文化や状況の差を超えて私達は同じ様にマイクロバイオームに操られているのだ。
次の本(「幸運な病のレシピ」)の主題でもある。





戦争のはらわた
『彼の敗北を喜ぶなかれ。世界がその畜生に立ち向かい阻んでも、そいつを生んだメス犬がまた発情する。』(ベルトルト・ブレヒト
エンドロールより。
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ナチスの兵士から見た独ソ戦線のお話。
普通の戦争映画ではない。
ペキンパーにはまり込んでいた頃見て驚いた記憶がある。
今、見返そうと思い借りてきたが見るのが辛い。
納屋でのソ連の女兵士のシークエンスは恐ろしい。
セックスは欲望の根源であり、マイクロバイオームが私たちの行動を司っている証左である。


ワイルドバンチ
このシーン見るだけでお腹いっぱいである。

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ゲッタウエイ

昨今のドンパチシーンに見慣れていると、物足りないかもしれないが、ドキドキ感は間違いない。
淀川さんの解説を今も思い出す。
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いくつかの映画の主人公が映画のエンドロールの終わりで死ぬと主張するのは「交渉人」のケビンスペイシーである。
ゲッタウエイのでは本当かはわからないが、生きていてもらいたいものだ(アリ・マッグローが可愛い凄みを見せる)。
この映画も「セックスの問題」を避けることは出来ない。
アリ・マッグローは刑務所にいる夫を出所させるために裏切るのであるが、実にいい演技している。
後にこの二人は結婚するのであった。


ガルシアの首

ペキンパーさんの映画は忘れられない。
人間が描かれている、まさに文学である。
男と女の関係を凄まじく描く。セックスが絡み、憎愛というものが人を縛り、生きるためにもがく姿を描く、最高である。
何をやってもうまく行かない男が自分を裏切った女とその男(ガルシア)の関係を思い、苦しむ。
女とて、止むに止まれぬ情念でガルシアと寝たのだ。
しかし、生きていくには金がいる。
そして墓を暴き、その首を手に入れるが、その賞金は多くの死をもたらす。
やがて、金など何の意味もないことを男は気がつくのだ。
まさに、文学である。
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わらの犬
この映画にはリメイク版もあるようだが見る気にならない。
モノクロで、ダスティン・ホフマンがすごいいい味を出している。
とにかくスーザン・ジョージも素晴らしい。
倦怠期の夫婦とレイプ、その後の葛藤、ちょっと綺麗無なお姉ちゃん役者かと思っていたのだ。
しかし、それは間違いである。彼女の演技がなければ成り立たない映画である。
表情でこれだけの演技をしている。
もちろんおっぱいもすごいが。

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ペキンパーさんの伝記映画(2015年)があったのだなあ。
知らなかった。
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この映画は新年映画大会である。借りてこなくっちゃ。