絶望を表現する人たち(3)「産後うつ」に治療薬がFDAで承認された。「うつ」は病気ではない、過酷な環境に投げ込まれたヒトの当たり前の反応なのだ。

米食品医薬品局(FDA)は3月19日、産後うつ治療薬としては初となる静脈内注射薬brexanoloneを承認した。」そうだ。
まるで「病に苦しむ人達への福音」かの如きニュースで読んだ。

出産後に、子供を殺したり自殺したりすることがあるのだが、それを「産後うつ」という病名で「病気」だと医者は考る。

生まれたばかりの「子供を殺す」ということは、意図してするとは思えないから、「精神異常」なのだ。
精神病というのは面白い。
自分に理解出来ない行動を行う人間を「病気だ」と呼ぶ。かつては家族が供に生きて、苦しみを乗り越えようとしていたのに、今ではカウンセリングで「抗うつ剤」を処方してもらう。

多くの感染症は検査で「病原菌」の存在を見つけて、その病原菌に対しての薬を投与する。

抗うつ剤は、脳の神経細胞の伝達を阻害することで苦しみを感じなくするだけだ。たしかに頭スッキリ万歳三唱だろう。けどね、本当の原因はそのヒトを蝕み続ける。
やがて、地面に激突する。




「蟹は自分の甲羅に合わせて穴を掘る」。

お医者様やお役人様には、生活が苦しく先が見えない中で子供を生んだ母の苦しみどは想像もできないのだろう。
自分はそんなことをしないからその患者は病気なのだと考える程度の想像力しかないのだろうよ。

けどね、僕は、テロと同じで、その人の環境が他人に理解出来ない行動を生むと考えている。その異常な行動は「絶望を表現している行為」なんだ。

共働きでいくら働いても生活は楽にならず、小さな賃貸アパート借りるにも精一杯。会社からの

産休だってせいぜい三ヶ月、一年なんて望むべくもない。子供を見てくれるヒト(父母)もいない。
医者は子供の頃のスキンシップがないから子供はグレると好きかっってなことを言う。好きで共働きなわけではない。

預ける施設もくじ引き満員。生活のぐちをこぼせば夫は出たっきり帰ってこない。
テレビじゃセレブの豪華な暮らしの実況中継。
ママタレは子供を愛するならこの商品買うことが大事とスティマに宣伝羨ましい。
子供がめでたくいい成績取れば一流大学、博士か大臣かと思っていても裏口入学のニュースは繰り返される。


芥川龍之介の「河童」という寓話を思い出す。
生まれる前に、自分の人生が分かればいいと時に思う。
世の中がこんなにくそったれな場所だと分かっていたら生まれたくないと思うのは当然。
自分があった困難をこの子にも味合わせるのかと考えたら鬱になった所でおかしな話じゃない。
周りを見てみれば、大きくなった子供が老後の世話をすることもない。
施設に入るほかなく、やがて孤独の中で死ぬ。
家族が増えて本当の孤独を感じるのだ。



生活習慣病」という言葉が間違えている。いくら努力しても、否応なく、そんな環境で生きねばならない。「自己責任」で貧困の中にいるのではない。
「生活環境」の「病」なのだ。社会の問題なのだ。
差から僕は「生活環境病」と呼ぶことにしよう。すべての人の環境は違い、それぞれに原因も病状も違う。ならば誰にでも効く処方も対策もない。
その人と共に生きる他ない。自分であろうと苦しんでいる人と共に生きたい。
自分も同じ生き方をしていることを知らせたい。

どんな応援も援助も、そのヒトの誇りを奪う。だから少子化対策生活保護などは邪魔にしかならない。
相談して解決することならとっくに相談している。
そんなこともわからないから「自殺絶対に駄目」とか「相談電話」を番号案内。
効果がないのは自殺が止まないと言う現実を見ればわかる。



現実は過酷だ、少ないリソースを奪い合うことになる。
最低賃金を上げれば商品やサービスの競争力は落ちて売れなくなる。資本家は労働者や経営者のことなの考えないで「仕入れは安くしろ・給料はできるだけ絞れ」ー>出来なきゃお前の首を切ると言う。他人を救うために自分が破滅する訳にはいかない。

かつて狭い範囲で閉じていた頃、自分が困った時に助けてもらうために最後まで追い詰めることなどなかった。
それが「お互い様という宗教」だった。
今は誰かを追い詰めて殺さねば自分がやられる。
だから、グローバルな市場主義経済と異なった原理を信じている人たちのの社会を攻撃して破壊しようとする。
イスラムアーミッシュ、貧困のスラムで生きる人達、カルト教団は互いに身を寄せ合って生きようとする。
そんな宗教は危険思想だ。

今は宗教なき時代なのだ。

そして、僕は母を失ってから宗教を信じる。金では変えないものが有ることを知っている。

グローバリズム人非人の経済学なのだ。しかし、問題は誰もが「自分が可愛い」ということだ。僕も全財産を誰かに寄付することはない。
自分の中には他人に対して『非人間的』になる現実が有る。刑法でも緊急避難というものが違法性を阻却する。これは当たり前のことなんだ。

昨今、会社では社員が自殺した時に責任を追わないためにカウンセリングを受けさせる。
無理な営業目標や困難な仕事を強いておきながら抗うつ剤を飲ませる。
家のローンや子供の学費で転職など出来るはずがない。
パートナーには生活の苦しさや将来の不安をチクリチクリと責められる。
人生に追い詰められたら自殺して保険金で人生を詰めるほかはない。

新発田でも多くの商店主や卸業者が自殺して人生を詰めたのを僕は知っている。
時代の流れに乗っていけない負け組だ、自己責任だと切り捨てるのは簡単だろう。けどね、次は自分と考えておいたほうが良い。
上手く定年まで逃げ切れても、その人生を詰めるのは跡継ぎの子供だ。

 


現代の社会は「抗うつ剤」と依存症の社会だ。
中国「清王朝」の末期にアヘン窟でアヘンを吸って社会の奴隷になっていた時代を考える。

奴隷であることを自覚しない奴隷が一番惨めな奴隷だ。



www.imishin.jp

ベトナム戦争時代の焼身自殺した僧侶のことを思うと涙が止まらない。
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今の社会は団結できないように分断されている。


この「産後うつ」の薬は静脈に60時間点滴で入れる。プラセボとの比較で効果があったという。副作用は、眠気、口渇、意識喪失、紅潮がある。

masaya50.hatenadiary.jp
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