「忖度」と「パワハラ・セクハラ・いじめ」の国(2) 「日大アメリカンフットボール部」の事例

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まず疑問に思ったのは、どうしてあれだけ露骨な反則をしたのだろうかということである。
その疑問に答えるための仮説である。




そんなに馬鹿ではない選手のようだから、あのタイミングであれだけ露骨に反則を行えば、動画はとられ、ネットに流れるくらいはわかったはずであろう。
おそらくその後の展開(独自の先手を打った記者会見)もである。

なので、あれだけ目につくように反則するのは何らかの意図があったと思われる。






アメリカンフットボールは相手選手にタックルをすることがゲームの要素のひとつなのだから、どんな選手でも、タックルの機会に相手を潰すという行為はありのはずだと思う。

監督も潰せと言っただろうが、『見つからないように』という共通の認識が隠れていただろう。
それを意図的に破ったとは考えられないであろうか。


つまり「見つからないようにヤレ」という指示に対して、わざと「見つかって大問題になるようにやった」のである。
これならば、実際に「ヤレ」と言われているのだから監督やコーチが悪者になる。
あの時に、「俺は見つからないようにヤレと言ったのに』と弁解するべきだった(笑)。

上の言うことを素直に聞いて、悪事だろうがなんだろうがする人材を求めている「企業・国」にうってつけの大学ではないか。企業への就職は120%、入学者は倍増、になるはずである。

コミュニティのイジメにおいて、いじめられている子に万引きさせたり、暴力団で誰か殺させたりするある種のイニシエーションの要素も感じられる。しかし、そのイニシエーションが成立するには、いじめられている子供がコミュニティに依存していることが条件である。悪事が露見した時に沈黙の誓いを守る場合だけである。今回の事例においては、彼以外のイジメ連合会(監督、コーチ、チームメイト)がここまでやっても、あいつは奴隷のままだと判断したのだ。大間違えであった。自殺するくらいまで誰かを追い詰めてはいけない。


いじめを受けている子供が、「教師や親・クラスメイトを告発した遺書」を残して自殺したときのことを考えると良い。


自殺は弱いもののやることだと思われているが、そうではない。
うまくすれば最高の攻撃になる。
多くの自殺者は「上手くやる方法」がわからないから上手くやれない。
そして死に損となる。僕は、母が死んで父を施設に入れろとネズミやカエルに言われてから、何度も自殺するシュミレーションを行った。準備万端である(笑)。

自爆テロを考えてみればいい。
自分の命を捨てた人間ほど怖いものはない。


彼はおそらく反射的にやったのだろう。しかし、見事であった。あの一撃で自分の袋小路を見事にジャンピングボードとしたのである。




もう一つ顕著なのは監督・コーチのバカさ加減である。反則直後においては、あれだけ見事におっぴらな反則が行われたとは思っていなかったのではないのだろうか。自分命じたとれる発言をしている理由はそれで説明がつく。
まさか自分がそこまで追い詰めている(独自の先手を打った記者会見をして、もう戻らないという決心をしている)とは思わなかったのだろう。選手があれほど上手く立ち回るとも思わなかったのだろう。

こういうヌケサクだから、まあ、いなくなったほうがいいとは思う。
馬鹿が一番トップに立つコミュニティは自壊する。
しかし、アベセイケンがなぜ倒れないかと言うと、日本中がそうだからである(笑)。





コミュニティは共通の利益を目指している。
その利益は暗黙のうちに参加者が共通の認識として持つものだ。








ということは、このコミュニティ(「日大アメリカンフットボール部」)で監督、コーチ、選手間でどんな関係性があったのか。それが一番興味がある。


結構有望な選手だっということである。
しかし、監督やコーチに嫌われたのだろう。
そしてチーム内でいじめられる。
他のチームメイトは皆ライバルである。
チームでの活躍は大学を卒業した以降の人生にも大きな影響を与える。
「仲間」などという関係性は、あくまで共通の利益を持っているコミュニティの参加者にしか成立しない。
希少な価値をコミュニティで奪い合うモデルにおいては、殺し合いさえも起こる。
そして、その両コミュニティは同じメンバーで重なる場合は圧倒的に多い。




決して彼は、心を操られた弱い青年ではない。自分の意志で、殺そうとして押し寄せるすべての敵と戦っているのだ。
決して正直でも馬鹿でもない、狡猾で抜け目ない戦略家である。世界と戦い勝ち抜けるかこのドラマの結末が見てみたい。



綺麗事ではない、世の中は殺すか殺されるかだ。
頭下げて、クラブの権威の飼い犬として生きるか、自分として生きるかである。
これからの苦難の道を考えると、辛いだろうと思う、
いつ彼は決意したのだろうか。


周りいっぱいのクソ野郎を相手に見事勝ち抜けるか。彼の戦いは始まったばかりである。

いずれ世間の興味も消えて、思いの通りにいかないこともばかりだ。

そこからが本当の戦いの始まりだ。
頑張っていただきたい。


僕はこういうストーリー大好きである。



いじめ研究家としては、非常に興味深い事例である。











もう一つは「日本のアメリカンフットボール界」というコミュニティとの関係性である。
もはや「世界」との関係もあるのかもしれない。

あの選手が日本記者クラブで記者会見をしたのはものすごい知恵である。
只者ではない。


後日のサイドストーリーが楽しみである。



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