平昌五輪に泣けた。朝鮮戦争はほんのこの間のことなのだ。
政治というのは、希少な財を奪い合う交渉であり、戦争もその一部である。
「平和」という目的のために政治は行われるが、それはあくまで「自分の平和」のためである。
2つの平和が両立しないときには躊躇なく自分の平和を優先させる。
「この平和」は「遠い国の戦争」のおかげなのである。
そんなことはわかっている。
しかし、一人の人間として悲劇を心に描いた時、例えようもない気持ちになる。
ニューズウイークの記事(平昌五輪、前半戦の勝者は韓国「文在寅」大統領だ)を読んで、大変うれしかった。
こう言う視点から書いている記事が少ないことは残念である。
多くの記事では、アメリカが北朝鮮を攻撃することを望んでいるかの様相である。
しかし、アタリマエのことを考えてもらいたい。
そうなったら、死ぬのは誰なんだ。
北朝鮮や韓国の市民たちは死んでも良いのか?
朝鮮戦争は1953年のことである。
僕の生まれる7年前だ。
ある日線が引かれ、北と南で同じ言葉を話す人々が殺し合わせられたのだ。
その日に離れたところに行った家族は二度と会えなかったのだ。
自分の家族がそういうことになったならば、僕には耐えられない。
戦争を生き残った人たちは80歳前後だろう。
繰り返し子供に悲劇を語っていただろう。
子どもたちは何を思ったのだろう。
僕の父は戦争のことを多くは語らない。
しかし、父や母の姿を見れば、戦争がいかに人を苦しめるかは分かる。
僕は、北と南が手を取り合うことは素晴らしいと思う。
そして、中国の属国(チベット)にもアメリカの属国(メキシコ・日本)にもならないためには「北朝鮮の核」と「韓国の経済力」が必要なのだ。
アメリカがアジアから手を引きたがっているのは明白である(かつて大英帝国が手を引いたように....)。
「北朝鮮の核」が(在韓米軍・沖縄米軍が果たしている)中国の防波堤になるということに気がついているはずである。
アクロバティックな地政学が動いていると感じる。
すでに4国(中国、台湾、南北朝鮮)は経済的に1つの国である。
3人のプレイヤー(金正恩、習近平、文在寅)と駒(核と経済力)は何かをしてくれるかもしれない。
周辺の国はどんな役割をするのだろうか、日本はどんな役割をするだろうか。
このタイミングは凄いと思う。
彼らのことは彼らが決めればいい。
アメリカが関わることはない。
もしアメリカが北朝鮮を攻めたら、韓国もアメリカに敵対する方に一票である。
そして、南北に引き裂かれた家族が出会えることを祈りたい。
無論、そうなった時に、大きな悲劇は繰り返されるだろう。しかし、私たちはは常に悲劇の中にいるのだ。
この2つの映画を見比べてもらいたい。
南北朝鮮の人たちにとっては、先の戦争は今の現実なのだ。
平昌五輪、前半戦の勝者は韓国「文在寅」大統領だ
2018年2月21日(水)17時13分
ラモン・パチェコ・パルド(ロンドン大学キングズ・カレッジ・ロンドン・アジア太平洋社会科学センター)
<平昌五輪に北朝鮮を参加させた文政権は、半島外交の主導権を取り戻した>
平昌冬季五輪も、いよいよ山場。前半戦の最大の勝者は誰か。筆者の見るところ、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領だ。
世間には、妹の金与正(キム・ヨジョン)を特使として送り込み、文大統領と会談させた金正恩(キム・ジョンウン)の「ほほ笑み攻勢」の勝利という見方もあるが、少なくとも南北関係の今後に関する限り、現時点で主導権を握っているのは韓国政府だ。そもそも平昌五輪をめぐる一連の外交攻勢を仕掛けたのも文大統領だった。
まず、北朝鮮の五輪参加が実現したのは韓国政府の熱心な働き掛けがあったからだ。文大統領は何カ月も前から北朝鮮に、選手団や応援団の派遣を呼び掛けてきた。韓国政府と平昌五輪組織委員会は水面下で、あらゆるルートを通じて北朝鮮を説得してきた。そうしてついに、ミサイル発射と核実験の繰り返しで孤立の底にあった北朝鮮を引きずり出すことに成功した。
数カ月にわたる努力は、文政権の外交的勝利で報われた。開会式の際に南北朝鮮の選手団が朝鮮「統一旗」の下で行進した光景は感動的だった。オリンピック史上初ではないが、韓国の領土で実現したのは初めてのことだ。
韓国内で批判の多かった女子アイスホッケーの南北合同チームも成功と言える。もともとメダルを期待できる競技ではなかったし、試合結果は惨敗続きだが、合同チームは南北の絆を見せつける強力なシンボルとなった。
ただし文政権の外交努力が最も報われたのは、競技会場ではなく開会式の貴賓席だった。北の指導者の妹が訪韓しただけでも大成功なのに、文大統領は金与正と大観衆の前で握手を交わした。これは強力なメッセージだ。
その後の会談や、北朝鮮が文に訪朝を要請したことも重要だ。しかも金正恩は正式に、今回の五輪参加に謝意を表している。わずか数日で、文は南北関係の雪解けと首脳会談開催の可能性をたぐり寄せた。数週間前には予想もできなかった成果である。
振り回されてきた韓国国民
もちろん、アメリカと日本の保守派にとっては不愉快な1週間だった。平昌に行くのは北朝鮮のプロパガンダに対抗するためだと語っていたマイク・ペンス米副大統領は、開会式での南北選手合同行進の際に起立せず、公式の記念撮影も拒否。歓迎レセプションはわずか5分で退席した。「対話の窓口は常に開かれている」という発言が空疎に聞こえる。
安倍晋三首相は北朝鮮に対する「最大限の圧力」を維持し、大会終了後の米韓合同軍事演習の確実な実施を呼び掛けたが、ほとんど注目されなかった。開会式に招かれた各国賓客の記念写真にも写っていなかった。あの開会式で、日本とアメリカの影は薄かった。かくして韓国政府は、ついに南北関係で主導権を握った。いつもアメリカや北朝鮮、あるいは中国に振り回されていると感じてきた韓国民にとってはとても重要なことだ。
とにかく文政権は北に和解の手を差し伸べた。今度は北が、次の一手を考えなければならない。北は平壌での首脳会談を持ち出したが、その話に乗るか乗らないかは、文が北の出方を見てから決めればいい。
アメリカは、南北の緊張緩和や対話ムードの醸成に異を唱える立場にはない。中国も、南北対話の再開は歓迎するだろう。
近年、中国政府には北朝鮮に対する影響力がほとんどないことが明らかになっている。習近平(シー・チンピン)政権は、文の和解外交が金正恩に一層の影響を与えることを望んでいる。
内政面でも、文政権は平昌五輪の成功で、その対北朝鮮政策の正しさを立証したことになり、今後も関与の拡大と対話の継続に努めるだろう。韓国民は南北関係の現状に閉塞感を抱いており、北の政権を信用していない。しかし文は選挙戦で北朝鮮への積極的関与を訴えて大統領になった。そして(一時的に支持率が下がったとはいえ)今も十分な支持を得ている。
五輪外交での勝利をきっかけに、韓国が朝鮮半島情勢の舵を取る時代が来るかもしれない。成功の保証はどこにもないが、平昌で開いた対話の窓を、文が閉じることはないだろう。
1013519
『アメリカは自国を戦争の場(南北戦争以来)になったことがない。』といわれるが、「銃や薬物の戦争」「国内の格差の問題」「テロとの戦い」「世界中での憎まれ方」を見れば十分戦争の中にあるのかもしれない。
自分の頭の上のハエを追うがいいと思われる。