「細胞の栄養学」(1)身体はコロニー、免疫は破壊する幽霊。

細胞の栄養学 のシリーズはこちら



細胞は、自分を身体の一部だとは思っていない。
そもそも、身体という存在を知らない。

身体(意識)は細胞という独自性をもった小さい生命から「自分」が出来上がっていることを知らない。
意識は、身体を(あたかも)、自動車などの機械のように「部品(臓器・組織)」からできているものと思う。
壊れたり古くなったら「交換」出来るものと考えている。

「iPs細胞、再生治療」と言われる一連の作為は未だ成果を出していない。



僕の身体を構成している細胞たちは(私細胞)57年間の年月をみんな一緒に過ごしてきた仲間である。
1つの受精卵から37兆とも60兆とも言われる数に増えながら姿を変えて着た。
そして、「発生・分化・進化・適応」の過程で「単独で生きるための機能」を失ってきた。
このコロニー以外では生きることのできない細胞群である。
客船のクルーに例える事ができる。

同時にこのコロニーにはお客様もいる。
◯身体に災厄をもたらす場合は「病原菌」と呼ばれる単細胞生命。
寄生虫などに代表されるスケールの小さな真核生物(回虫やサナダムシ)。
◯身体に生息する「菌類」(代表するのは水虫君)。
◯自己の細胞内に代謝系を持たないで遺伝情報だけをもち、他のDNAゲノムに「タンパク質の製法」を伝え歩くウイルス。

これら異なった遺伝子ゲノム由来して、「数的には遥かに凌駕する『マイクロバイオーム』」も僕の一部である。





僕を構成しているマイクロ生命たちは「現実に向き合い、共に乗り越えてきたミクロの生命同士」である。
いかに、細胞を初期化ー>分化させて同様の機能を持つ細胞を作り出した所で、57年間の時間は再現できない。
軋みやブレ、こまかい立て付けの異悪さは有るだろうが、全体を入れ替えることは出来ない。
個人にあったオーダーメード医療などという言葉に惑わされてはならない。
医学はまだ何も分かっていない。

毎日のように最新の知見による新常識が現れる。しかし、新しいから「正しい」とも、今後も「正しい」という保証はない。


今まで嘘をついてきたことを悪びれることもなく、「新しい言葉」を振り回す。

占星術師・八卦占い師が神の言葉を自然現象に見つけようとする姿となんらかわりはない。





オートファジー・DNAゲノム・マイクロバイオームの研究は面白い世界像を与えてくれる。
そこに進化論をちょいと振りかけて、シェイクすると、「幸運な病のレシピ」になる。




【オートファジーから見た生命・身体・免疫】


細胞は日夜変化している。
目まぐるしく変わる環境に対して適応を続けている。
受精に始まり、分化して60兆個の全く異なった細胞に変わっていく。
「分化」とは環境に対しての適応であり、進化と呼ばれるものである。



免疫は体を守るために有るのではない。
ただ、破壊すべきものを破壊しているだけである。
そして、破壊しているという意識もない。
当たり前のことをしているだけである。
タンパク質はアミノ酸まで破壊され、mRNAに従った緻密なプロセスで新たなタンパク質にリサイクルされる。


お腹が空いたら食事をするように、免疫は自分や病原菌、森羅万象に潜む神々を破壊する。
新たな生命になるために破壊されていく。



全てのマイクロな生命は何の「使命感」も持たず淡々と生命活動を繰り返していく。

苦痛も喜びも、死も生も、単なる日常である。




真っ暗で、一定の温度が保たれている液体(間質液)の中に細胞は浮かんでいる。
細胞膜にはドアノブのような、玄関のチャイムの様な役割をする「膜タンパク」が埋め込まれている。

そして細胞自身も、状況に従って、いろいろなタンパク質(を核にした物質)を放出する。
時に炎症を起こしたり、癌と判定されたり様々な状況を作り出す。

癌でさえも、細胞にとっては日常である。




細胞はそれぞれ、全体のために何かするわけではない。
ただ、タンパク質を作り互いにコミュニケーションをとりあっているだけである。







細胞を中心にした栄養学を考えている。
「ATP栄養学」とよんでいたが、どうもこちらのほうがピッタリとする。

「皿の上・身体の栄養学」との比較ができる。
『血糖値を下げるために膵臓インスリンを分泌する』って、思わず吹き出してしまう。なにせ、『高血糖になると「糖毒性」が膵臓のβ脂肪を苦しめてインスリンを分泌させて、血糖値が下がる』そうだ。「白衣を着た妄言者の言うこと」を真面目に信じていた僕が馬鹿だった。









【マイクロバイオームから見た生命・身体・免疫】

僕は、生命の身体を「マイクロな生命のコロニー」と考える。
「豪華な客船」に例えることが出来る。

その客船の中でしか生きることの出来ない「私細胞」は乗組員と船体そのものである。
そこに何倍もの数の乗客が乗り込んでいる。

乗客の中には、悪人も入れば、善人もいる。
船体に穴を開けるような不埒者もいる。

しかし、その船が沈没しても、乗客は他の船に乗り移るだけである。



船員と乗客は様々な声をあげる。
そしてその声は「決して姿を見せない船長」に伝わり、船を操られる。


港や、他の船に接して乗客は行き来する。
時に海賊船のような船もいる。
そんな時に船が属する船団(家族)は戦い(自分自身)を守ろうとする。
昨日まで、同じ船団に属していた


船の中には、徘徊して、生命を破壊する幽霊がいる。
乗客も、乗務員も同じように破壊される。
幽霊が何を好むかも、何を破壊するかも理解することは出来ない。
そして逃れることは出来ない。
その破壊する幽霊を私たちは「免疫」と呼ぶ。





1009475