「人生痩せたり太ったり(仮題)」のコンセプト(6)家族の意味 父の散歩

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暑い夏だなと思えば、もう涼しくなってきている。
すぐに寒い冬が来る。


ここしばらく、暑くて散歩に出なかった。
朝食も食べに来ないで、夕方行くとベッドの中で寝ている。
少し心配だった。

湿度が低くなってカラッとしたら元気になったようだ。

昨日に引き続いて今日も散歩に行き、帰ってきた。
今朝は朝食に来て、昼は子供の作ったカレーを食べた。



歩みは遅いが、しっかりしている。
去年は1時間で歩いていたコースを今年は1時間30分かけて歩く。

以前は帰ってくるのが遅いと心配して探しに行ったりしたが、もう心配はしていない。



散歩の後で、しっかりと夕飯を食べる。
疲れているようなん時は実家に夕食を運ぶ。
気楽に、テレビを見ながら食べるのも良いようだ。

実家で食べる時は、少しだけ酒の量も増える。











父とはできるだけ一緒に食べる。
一切何も出来なくなっているから、会話に気をつけなければならない。
何気ない一言が深く、傷つける。
父の言葉をよく聞くと様々な警句や叡智を見つけることが有る。
共に生きた時間が、今を作っている。


僕の友人の勤務するグループホームでは食事を一緒にするのが一番大事だという。
確かに、食べる姿を見れば、体と心の調子が分かる。




毎日の生活の中で、自分が年取っていくことが分かる
記憶はどんどん短くなっていくし、今までできたことができなくなる。
時間が経てば、自分ができていた事も分からなくなる。

老人は、常に絶望と向き合っている
母がなくなる直前に視力が落ちていく恐怖を何度も僕に語った。

僕は、糖尿病で失明の危機を指摘された時、まさにこの状態だった。
無気力と向き合わなければならない。
現実は過酷だ。しかし諦めなくても良い、誰もが通る道なのだ。

「誰かに必要とされている」ことが、生きる支えになる。



僕は父の姿に自分の未来を見ている。
年取った家族と生きるということはそういうことだ。
妻であり、共著者の直子は『寝たきりの祖母の最後の10年を看取った父母』と暮らした。
時にその頃の体験を聞く。

家族は皆それぞれである。




食事の席で小言を言ってはいけない
食事しか楽しみがない老人に、その食事の席で「叱ったり、頼んだり、強制したり」は注意深く避けなければならない。

「世話になっている」と感じている老人は「そんなことはない」と伝えなければならない。
あたり前のことだと伝えたい。

食事の場(家庭)は「支配の場」でも有るのだ。
これは家族というコミュニティ(群れ)が常時関係確認を必要としているためである。
多くの哺乳類で見られることである。
次の本の主題である。


父はいつも「毎日食べさせてもらって俺は寝てばかりだ、ありがとう」と言う。

僕は答える。
◯皆の分を作っているのに、ありがたがってくれるのはお父さんばかりだ。
◯僕も一緒に食べるものを作っているんだ。
◯小さい頃から何年お母さんとお父さんに食べさせてもらったと思う?
◯元気でいてくれるのが一番だ。
◯寝て起きるだけで毎月年金も入ってくるからいいんだよ。
◯何処かにフラフラ出歩かれるよりも寝ていてもらったほうが良いよ。

人は心で食べる。満足とのトレードオフで何を得て、何を失うのだろうか?







夏は脱水症状が怖い。

お茶のペットボトルとか、スポーツドリンクとか色々と試したが、皆減りが悪い。どうも気に入らないらしい。

そんな中で、アメリカから取り寄せたサプリメントをためしてみた。
これが当たりであった。寝ては起きるたびに一口づつ飲むのだ。
大事なことは、美味しいというところだ。
誰にでも効くものではないだろうが、父はこれが好きだし、元気である。



メーカーの触れ込みでは、成長ホルモンを補完するサプリメントという。
成長ホルモンというと何か若い人にしか関係ないように思われるが、これは一生ついてまわるものなのだ。
細胞は死ぬまで自分自身をリペアし続ける。これが止まった時に少しずつ細胞の死が訪れる。

その時に、細胞の外に満ちている間質液(血液)にブドウ糖(=燃料)と必須栄養素(=材料)が必要になる。
そしてブドウ糖の取り込みの許可(インスリン)が必要になる。
僕が明け方に血糖値が高くなるのはそのせいである。(暁現象とかソモギー効果と呼ばれる)





















母の好きだった百日紅である。
今年もたくさん咲いた。

当たり前のものに意味を求めるというのは愚かなことかもしれない。
しかし時は移り、当たり前のものがそこに見えなくなることも有る。
僕に見えているものは意味のないものだろうか?伝えようとすることには何か意味があるだろうか。愚かな妄言だろうか?



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