「人生痩せたり太ったり(仮題)」のコンセプト(4) 生命のM&A(1)

「人生痩せたり太ったり(仮題)」のコンセプトはこちら


昨今の進化学は遺伝子工学と結びつくことで、「宗教に対抗するための哲学」から「明確な証拠を持った実学」となった。

そもそも「神の創造」と「進化」は相容れないものでも拮抗するものでもない。
単に現実の世界において、いかに富の再分配を行うかという問題解決のメソッドでしか無い。
神殿と神官を通じて富を分配するか、大学と医師を通じて分配するかの違いでしか無い。
その分配の見返りは「永遠の命」である。
まあ、医学の場合は「再生治療」と呼ばれるが.......


富の再分配で最も好まれるのは「投資」である。

私達の心は、永遠の命を求める。
医学はそれを実現すると思っている人達がいる。「再生治療」と言う出口に分子生命学(注1)は向かっている

私達の身体を「ミクロな生命のコロニー」と考えれば全く違ったものとして見えてくる。
コロニーが古くなれば、破壊して新しいコロニーを生むのが当然であろう。
そして個体の死の後に生まれるコロニーは、より環境に適応したものとなる(場合が多いと思うことにする)。




そして、進化(適応)は、より適応したタンパク質の生産と定義することが出来る。
一番簡単な方法はなんだろうか?
遺伝子のM&A(注2)である。


進化医学の文献の中では、わかりやすく、良い本だった。

迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか

迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか

進化医学というのは「災厄とのトレードオフ(注3)」と考えることが出来る。


そしてコロニー(個体)間の相互関係が、社会である。

社会に対しての捉え方がまだ見えていない。



903320




注1: 分子生命学
分子生物学とは言われるが、分子生命学とは言われない。
まだぼんやるとしか定義できないのだが、科学が慎重に回避する「何故(なぜ)」という問いかけを考え続けるのが「生命学」のような気がする。
生物の緻密な仕組みや、様々な現象を知る時、いつも心に去来するのは「何故(なぜ)」と言う疑問である。

そして、その問いに向き合わない科学はただの木偶人形である。




注2: 遺伝子のM&A
企業の合併や買収の総称。英語: merger and acquisition(合併と買収)の略。
DNAにコード化された「アミノ酸の結合配列」とその活性化のルール、具体的な作業手順の解析が進み、まさに現在の医薬品業界は特定タンパク質の生産合戦である。

僕は飛び込み営業が商売の本質である。
ウイルスや細菌は感染という手段を使って、お客様となる生命(自分属するコロニー)にタンパク質の売り込みをしている見る事が出来る。


ミトコンドリアがあるタイミングで取り込まれ、それまでは競合していた生命の細胞内でATPのリサイクルを専門に行うようになったプロセスは顕著な例である。

ミトコンドリアトレードオフを考えることは面白い。

生命における「トレードオフ」次の本の主題である。





注3: 災厄とのトレードオフ
病気は避けたいものである。依存症は人生を破壊することもある。
しかし、そんな最悪の状態でも、何かの役に立っているのではないかと考えることは重要である。

神のなす事に間違いはないのである。
そして止まない雨はない。



「経済学と医学」は類似点が多いというか、両者ともに、現実を分析してアクションを起こすための判断の基準であるからだ。

人でなしの経済理論-トレードオフの経済学

人でなしの経済理論-トレードオフの経済学

翻訳者の山形さん、僕大好き。
かなり持っているかもしれない。