いい医者・悪い医者 ガンに関しての研究(2) 「栄養サポートチーム」(NST)の取り組み

2016年、本を書くために大量の本を読んだ。
この本は泣けた本のうちの1冊である。

この本は素晴らしい。

東口 郄志さんはある体験をする。

その患者さんとの体験が彼の取り組みを生む。

「栄養サポートチーム」(NST)という運動である。



がん患者は歩いて入院するのに、退院する時は、車椅子で退院する。
なぜ、なのかということを考えて、病院の食事に問題がある(明確にはそうは言っていないが....)とたどり着くのだ。
院内感染などについても、病原菌に問題があるのではなく、患者の栄養状態に問題があると視点を変えるのである。



マニュアル通りにしていれば給料がもらえる医療の世界で、「いらないことを始めた」と思われたに違いない。反発もあっただろう。

自分の進む道が正しいかどうか分からない中、取り組むのは辛かっただろう。
確かにアメリカでの研究がバックボーンにあったとは言え、決して今の「政治的に正しい治療」という枠には入っていない。


そしてここからが凄い。
彼は、病院という組織の中で同じ志を持った人たちと結びついて小さな取り組みを始めるのである。

それがNSTである。
内容的には「政治的に正しい栄養学=カロリー栄養学」なので異論はあるが、医師という枠組みの中で自分の将来ではなく、患者を見ている所がすごい好きである。





まあ、自分もいつか歳老いた時どう扱ってもらいたいかと考えれば、自分の問題である。
社会を変えようとする取り組みが素晴らしい。



いかに困難だったろうか。
僕は、当時の彼の孤独を考えると涙がでる。








2016年沢山の本を買ったが、NST関係の本は面白かった。

医師・看護師に対しての教科書的な物も多い。
そして、内容が余りに初歩的なものが多く、また、僕の考えからするとチヨット違っていたりするのである。
やはり、「政治的に正しい栄養学」に論拠する以外の道は無いのである。

「ああ、こういうレベルの人達を引っ張り上げようというのだなあ」と思い、これは大変だなあと感じた。


この本はおすすめである。

〈JJNスペシャル〉「治る力」を引き出す実践!臨床栄養

〈JJNスペシャル〉「治る力」を引き出す実践!臨床栄養


詳細のマニュアル的な本であるよりも、ハートが伝わる本のほうが僕は好きである。



栄養学は難しい、食事という出口を通らなければならないからである。
実践の学であり、教育の長い道のりであり、発見とスキルの向上が常に求められる。




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