植物の体はほとんどが炭水化物でできている。


植物の動的平衡というページが面白かった。

動的平衡」とは福岡伸一さんがお書きになった「生物と無生物のあいだ」と言う本で書かれている概念である。
2015年に読んだ本の中でかなり面白いもの方に入る。
動物の細胞の分子構成が入れ替えられながら同じ姿を維持している驚異を描いている。





「新しさ」を担保する方法としては、定期的にチェックして、老朽化している場合交換するという方法と、常に片端から入れ替えていくという方法がある。
私達の科学文化は、「チェックアンドチェンジ」の方である。
これはコストがかからない様に見えるが、問題点も多い。
それに比較して生命が選んだ道は、「動的平衡 dynamic equilibrium」なのである。
そのものがどういう状態かは問わないで、常に変えていき、一定の期間が経ったものはみな新しくなるというものである。

伊勢神宮の「式年遷宮」を思い浮かべるのは僕だけではないだろう。
小松左京さんが何かで書いていたとがある。







植物は太陽光線と二酸化炭素からエネルギーを作る。
そのエネルギーを使い炭水化物で細胞壁を作り、細胞壁で仕切られた小さな部屋の中に細胞膜で仕切られた細胞を作る。

動物はカルシュウムで体の中に構造を作り、筋肉で囲い市Sつの膜で覆う。

植物は、外部を炭水化物で覆い、構造とした、そして内部に水を循環させる。
種が太陽光線を受けて合成をできる様になるまでのエネルギー元として「糖」は存在する。
そして、「糖」は生命にとって共通の通貨となった。


細胞壁は、セルロースと言われる繊維質に代表される炭水化物で、多くの動物は消化する事ができない。
キャベツは100g中、炭水化物が5.2 g(食物繊維1.8g、糖質3.4g)、脂質が0.2 g、タンパク質が1.3 g、水分が92.7 gなのである。
水分以外の重量の比率から見ると多い。

この食物繊維の部分が細胞壁に当たる。





土に落ちた種が発芽して、光合成を始める、その時点までは種子内にためられたエネルギーを使わなければならない。
そのエネルギーこそが「ブドウ糖」であり、効率的にまとめたのが「炭水化物(糖質)」である。

葉が出るまでの燃料に使われるのが私達の食べる「炭水化物(糖質)」である。


そして、動物は、「動く」という事を選択したので、筋肉(たんぱく質)を発達させた。
固定的で頑丈な「食物繊維-細胞壁」ではなく、可動的で柔軟な「カルシュウム=骨+たんぱく質=随意筋」のシステムを選択したのだ。



その筋肉はたんぱく質から出来ているが、構成要素である「アミノ酸」は糖質から生成する。
または、他の生命が糖質から作り出したアミノ酸たんぱく質の元)を取り込んで使う。

糖質を保存するために脂肪を使う事にした。なので、糖質から脂肪は作られている。
また、細胞膜は脂質から出来ているのでそこでも使われる。


たんぱく質」というと筋肉を思い浮かべるだろうが、実際には細胞同士の情報のやり取りでも使われる。
というよりも、「たんぱく質」の本当に重要な役割はこちらである。
インスリンは、ホルモンと言われているが実際には「たんぱく質」である。

ホルモンというのはあまり良い表現ではないので、僕は「メッセンジャー」と呼ぶ様にしている。
そして細胞膜にはそれぞれのメッセンジャーに対応するセンサー(受容体)が埋め込まれていて、細胞間での情報伝達はこの両者で行われる。

そして多くの細胞は自分の状態をメッセンジャーを発信する事で他の細胞に伝えるのである。

60兆個の細胞が、それぞれに自分の欠乏を伝え、剰余を流す。
それぞれに助け合いながら生きている様に見えるが、細胞は互いに外部に細胞があるという事など知らない(はずである)。

ドーキンスは偉大だ。









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