水木しげるさん、お疲れ様でした。

水木しげるさんはとても素敵である。

彼の戦争を主題にしたコミックを読んだのはずいすん年取ってからであった。


映画『妖怪大戦争 2005年』が僕は大好きである。
水木しげるさんは妖怪大翁として最後に登場する。
とり巻きの妖怪が、「何とか勝ったようです」というと
こんなセリフを語る。


勝ち戦?
馬鹿言っちゃいけませんよ。全くアホらしいのにもほどがあります。
戦争はイカンです。
腹がへるだけです。


音楽もいいし、少年が大人になるプロセスも素晴らしい。
ただのベロベロバーのびっくり箱映画かと思うとラストで一気に反戦映画であると分かるのである。

戦場で腕を失った水木さんの言葉が素晴らしい。




そして、ラスト、麒麟に乗って戦った少年も大人になり、見えていたものが見えなくなる時、新たな軍靴の音(加藤保憲)が迫ってくるのであった。


彼がちいさいころ見ていた海は変わらなく穏やかだった。


映画はまさに時代を映すものである。そしてそれを見るのは私達なのだ。




ちなみに、なんと、toutubeにアップされていた金曜ロードショーで確認したのだが、この大事なラストの数分が全てカットされていたのである。まあまあ、しょうがないとは思うが、こりゃ参ったのである。
みんな、ぜひともDVDで見よう。
まあ、もうちっと短くても良かったね。


人の目には、見えないモノを見る力がある。
見えない世界があることを実感する瞬間がある。
水木さんは、妖怪の世界を描くことで、そんな世界を描いている。

足の下と、空の上には人智を超えた世界が広がっている。
そして、天と地の間を計るには人智には出来ないことである。
There are more things in heaven and earth, Horatio, Than are dreamt of in your philosophy.


人が皆、そう信じることができればなあ。

すでに、戦争を見た世代はいなくなっていく。
僕は父の見たものを伝えられるだろうか。






忌野清志郎井上陽水も、ぼくは大好き。
すぐに走らなくてもいい。
バトンがあることを信じることが出来るさろうか...................。





ちなみにこの曲も大好き



大映版の「妖怪大戦争」も恐ろしかった。
たしか地元の映画館に父と観に行った記憶がある。

外国の妖怪が恐ろしい、僕は血を吸われて、悪の走狗となる系のお話が怖くてたまらない。
信じていた存在が、いつの間にか変わっていく系と言っても良いかもしれない。

しかし、人の世では当たり前に起こることである。
そもそも、シャバのもんは青信号でも信じてはいけないのである。

人の心など、あることは証明する手段はない。
他人にも心がある方に賭けるか諦めるかのどちらかである。
その賭けに負けたところで、失うものは得るものに比べたら遥かに小さい。



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