空腹の研究 (3) 基準はどこにあり、どう変えるのか?

カロリー主義のダイエットの時代に様々なダイエットを行った。
その時に非常に優れたダイエットの本にであった。(今度こそ、やせられる 「心でやせる」科学 / 大朏博善 1984年)
「セットポイント」説というものを紹介していていた(当時の最新の研究としてである)。満腹を感じる脳下垂体がどの程度の血糖値になると「満腹」というサインを出して、「意識」に食事をやめさせるかというものだった。


なるほどなあ、と思った。
つまり、意志の力が弱いからダイエットに失敗するのではないということである。
痩せているヒトはセットポイントが低い。
太っているヒトはセットポイントが高いのである。決して「食い意地汚いから太っているわけではないのである。


誰もが皆、「欲望には抗えない」のである。



ヒトの意志の強さとか、意地汚さとか、という「価値判断」と「体」の問題を切り離して考えるのである。
大変面白く、当時、25kg体重を落とした時に心の支えとなったものである。


その後、「からだの知恵 この不思議なはたらき (講談社学術文庫) B・ウォルター・キャノン; 1981/12/8」と出会う。
「恒常性」と言う概念を実にわかりやすく説明されている、名著だと思う。

単細胞生物は非常に狭い環境の範囲にしか生きることが出来ない。
人と言うんは、『60兆個の細胞が共同で生きていく「上下水道、食料配給、エアコン付きマンション」』なのだと言う考え方に行き着いた。

ドーキンスさんなんかの『細胞の共生としての生物、生命についての見方』にすんなりと入っていけた。
まだ、ヒトゲノムの解析前の話である。



血糖ホメオスタシスの観点から考えると、何を基準に人の体が、血糖値を上げたり下げたりするのかにとても興味がある。

満腹を感じる基準があるように、「血糖値をどんな値にするかの基準」に合うように人の体は「血糖」を操作している。

下げるための「インシュリンの分泌ー>細胞内への取り込み」「尿からの排出」
上げるために「グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモン」などがある。

もちろん、空腹を感じさせて「食事行動を取る」事も重要なその一つである。
『血糖値==摂取(食事)+放出(糖新生)==使用+蓄積(脂肪・グリコーゲン)+排出(尿糖)』
この方程式が成り立っているのである。

全く糖質を取らないダイエット(生活)をしている。
時折見られるのだが、朝起きて1時間位すると血糖値が上がるのである。
まだデータが足りないのだが、どういうことだろうか?


朝起きた後で、1,2時間経過時点での数字を記録してみよう。
なんとなくの感じなのだが、その時点で落ち着いた数字に『血糖ホメオスタシス』のセットポイントがあり、そこに向かおうとしているような気がする。
糖新生が盛んに行われる限り、血糖値は下がらないのである。
当然、糖新生をセーブする薬(メトホルミン)もある。




血糖値を下げるということは、『「血糖ホメオスタシスのセットポイント」を低い状態にすること』とイコールだろうか。
当然であるが、やれることは運動と食事しか無い。










就寝時に比較して、朝起きた時の血糖が高くなる暁現象の事を言っているのではなく、何も糖質を取らないで、安静に(仕事しているのに)血糖値が上がる現象を考えています。


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