母の笑い顔

母は、「夜眠れない」と訴える。
病院に安定剤を処方されているのだが、多めに飲んでいるようであった。(ようやく先日から僕があずかることになった)

僕は「眠れない」と言うのは、眠れない夢を見ているだけだと思っている。
夜中に目が覚めてまた寝るのである。


所が、5/1-5/2にある事件があり、本当に眠れなくなった。
明け方に電話で起こされ、耳ががんがんするから病院に行くと訴えられたのである。

朝ごはんを食べるとこたつに突っ伏して寝てしまい、布団に移すとそのまま半日寝ていたのである。
安定剤も多く飲んでしまっていたようである。

まいった。


そして、今朝6時に母の家にヨーグルトを持っていった。
朝早く行くのは、その時間に時々母が起きているからである。
朝一番の顔を見るとだいたいその日の調子がわかる。



「昨夜泥棒が入った」というのである。
なぜかと聞くと
「夜中の3時に書いたメモが盗まれている」というのである。
どんなことが書かれているメモかと聞くと
『今日も夜中に起きて眠れない』と書いてあるメモだ」という。

僕は「起きてメモを書いた夢を見ただけなんだ」と言うが納得しない。
おれは絶対に書いた、警察だねこれはと繰り返す。

「僕も、宝くじにあたった(夢を見る)が、お金がないからこれは泥棒に入られたんだねえ」と言った。



母は、大笑いして、納得した。




ようやく落ち着いてきたようである。



冗談で笑えるということはとても素晴らしいことだ。


夢と現実の区別がつかなくなることは私達の常である。
どこに境界を引くかなどということは、自分で決めることである。

現実ともに生きるために、その境界を揺るがす事もあるであろう。

僕は夢見がちの子どもだったし、夢見がちの大人である。





年をとるということは厳しいストレスにさらされることであろう。
昨日まで出来ていたことが出来なくなる。
段々衰えていくことが実感となっていく。
いずれ来る死の姿がはっきりと見えてくる。




そして笑いは、ストレスを吹き飛ばす力がある。



何とも複雑な一週間の始まりである。


579503