自己変革は可能か（１）「生徒の教師への授業評価是か非か」

「尾木直樹の教育相談室: 悩みを前進力に変える70のヒント」を読んだ

面白かった。

教師や親に読んでもらうための本なので「糖衣錠」である。
一問一答形式で読みやすいし具体的な内容であって、分かりやすい。

尾木先生の「苦い薬」も素敵なので、そちらも一読をおすすめする。

「生徒の教師への授業評価是か非か」ｐ108 面白い。

以下の項目はアンケートの内容例である。

◎先生の説明は分かりやすいですか
◎黒板の内容は整理されていますか
●授業の始まりと終わりの時間は守られていますか
●熱心に教えてくれましたか
◎先生は授業の準備を十分にしていますか
●生徒一人ひとりに公平に接していますか
●生徒の考えや意見を大切にしてくれますか
◎授業は楽しかったですか
●この授業は後輩に勧められますか
●叱り方が上手ですか

こんなアンケートに対して、「教師の尊厳が守られない」と拒否反応を示すベテラン教師がいるということである。

さもありなんと思う。

ちなみに「●＝ビヘービア（習慣）の問題」「◎教える技術の問題」と僕は分類する。
教える技術に関しては、先生方は「大学」や色々な講習会、勉強会、他の先生の授業の見学などで学べるだろう。
しかし、コミュニティを構成しようとするビヘ−ビア（習慣）は自分の体験の中で誰かの真似していく他ないのだ。

僕はプログラムを作る会社を経営しているが、「講習会」も大好きである。

いつも講習会で心がけていることは、生徒の態度を見て、自分の講習が理解されているかということを見直すということである。

つまり、生徒から、学ぶということである。

「こういう風に教えて、わからないのは生徒の問題である」と考えないことなのだ。
問題を察知して、それを改善すると言うアクションをとれるかどうかである。

数年前（もう１０年になるだろうか...）に、２ヶ月連続の講習を行った。

新潟県の職員４０人を２日一セット「エクセルと一太郎と業務システムのオペレーション」で教えた。

生徒のスキルはバラバラで、直面している問題もバラバラであった。

当初考えていた様な形から、授業の組み立ても変えた。

大事なことは、スキルの低い生徒に劣等感をいかに持たせないかということ。
スキルが高い生徒にもっと高くなってもらうように感じさせること。

つまり、それぞれの立場にあわせた適切なモチベーションを与えるということである。

そうすることによって、「銀行型学習」から「自己変革型学習」へと変えることが出来る。

スキルが高いと言ってもたかだか素人である。
スキルが低いと言っても、ほんの僅かな経験がなかっただけである。

休み時間はスキルの少ない生徒には適切な体験を与え、スキルの高い生徒にはより高度な課題した。

面白かった。

僕のスキルも上がったのである。

教室を考えてみれば、年長者と年少者ではまるまる一年差がある。
中学校の年代での生物的年齢での一年の差は大きい。
脳の構造は違うだろうし、性的な成熟も違う。

これを学年が一緒だからといって同じ学習課題を与えるのは間違えているのだ。

そんなアタリマエのことも文科省(や出来の良かった教師の方々)は考え付かない。
習障害というレッテルは本人を傷つけるし、未来を奪う。

僕は九九を中学校に入った頃うまく言えなかった。
今でも七の段はよく間違える。

けど、会社を経営して、地元で頑張っている。

九九など言えなくても構わないのだ。少し不便なだけだ。

字が汚いのは、少し悲しいが、年取っていくと、『それなりに味のある時だね』などと言われる。
漢字を間違えるのは少し恥ずかしい。

汚い字も、九九の間違えも、漢字が書けないのも、みんな引っくるめて僕自身なのだ。恥じることはない。

少し恥ずかしいいが、悔やんでもしょうがない。

教室での自己変革こそが、重要な問題だと思う。

子供達にアンケートを取ることで、授業への主体的な参加が見られるということも書かれている。

そうなんだよなあ。

自分たちの行動でクラスが変わるという体験は言い換えれば「社会（コミュニティ）」が変革可能であるという体験である。
まさに、学校は民主主義の学校となるのである。

教師は、クラスの親としてクラスの価値を決める。
そして、個々の人間の持っていることなった価値を運営の中に反映させることで自己変革のビヘービア（習慣）を見せることが出来る。

自己変革こそが言語で伝えられない重要な学びの目標である。

果たして僕は家庭でそんな姿を子供達に見せているだろうか。
「反抗期」を作り出しているのは親自身のふるまいなのだ。

そしてそんな（反抗期に親を子どもが苦しめる）家庭で育った「子ども」は、「大人」になり家庭を持った時、子どもに復讐される。

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