ハチワンダイバー完結
ハチワンダイバーと言うまさに「奇書」と呼ぶべきコミックにであったのはいつの頃だろうか?
将棋を題材にしているが、そのリアリティラインは強烈である。
物語の主軸はまさに神話レベルの面白さである。
ここで言う神話レベルと言うのは私たちの現実を超えた物語を記する事で人間のもっている何かを語る事と言う意味である。
真剣士と言う世界を題材にする事で何でもありの世界を描いている。
同時にその世界は納得出来るのである。
ある娘「そよ」に将棋の才能を見た真剣士「谷生」が、その娘の兄と父を殺す(将棋の賭けに勝つ事によって)。
そして、(将棋の賭けに勝つ事によって)彼女の母「つや」を奪う。家族を奪われた娘「そよ」は将棋の道を歩む。
「そよ」は才能ある真剣士「スガタ」を見つけ共に「谷生」への復讐を目指す。
谷生に復讐の戦いを挑む。
その戦いに負けた「そよ」は「谷生」の弟子となる。
「そよ」は母が「谷生」の子供を産んでいることを知る。自分の父と兄を殺した男が、母親に自分の妹を生ませているのだ。
そして「そよ」と「スガタ」は愛し合いながら、戦う事になる。
すげえ話だ、まさに神話級である。
最後は、まあ、こんなもんかいと言う感じで終わるのだが、それは、しょうがない。
神話ではないのだからな。
しかし、今後何年も読み返す事になるだろう。
この物語を、どう考えたら良いのか、結論が見えない。
多くの登場人物が、強烈なその生を生きる。
そして、壮絶な死を迎える。
その描写が私たちに与える物は例えようが無い。
明らかに初期の物語と中期以降の物語ははっきりと切れている。
もっと分析したいのだが、分析した所で、何が変わる訳が無い。
「”意志”を継ぐ者がいれば死人なんていない」20巻で澄野さんは言う。
まさにこの物語の主題である。
最終巻のエピローグは嬉しいのだが、「つや」がどの様な人生を送ったか知りたい。
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