『新百年しばた宣言』…….【僕らのミライへ逆回転】 再見 なぜ人々はこの映画を愛するのだろうか。

「百年しばた」という運動を昨年夏始めた。

新発田では、補助金のために駅前に図書館(建築会社の6階建てのマンション付き)を作り、7階建ての市役所を作る。
総額は100億を超える。資料1資料2を御覧ください。

しかし、この施策は「しばた」の本質的な問題を隠す。

建築会社の6階建てマンション付き図書館、使いづらい市役所共に「にぎやか創出(商店街の活性化)」が出来ると言う名目で行われる。

残念ながら、それは嘘である。
市民の意見を聞いているというが、実質的には市民の意見は無視されている。

私達はルーツを持ち、「今」を生きている。
子どもたちは都会に出て行って街に帰ることは出来ない。
仕事といえば市役所の臨時雇い(業務委託と呼ぶのかなあ)か建設会社の下請、ガス会社(公共企業)に勤める他ない。
地元に本社のある会社、農家、商店は消えていく。
生産調整や人口減少にしたがって(地元に本社のない)大企業の工場や、支店は閉鎖されていく。学校は無くなっていくから教師もここにはいられない。



「百年しばた」が何に向かって進めばいいのか、どうなればいいか見えていなかった。「公共事業を通じて、補助金や借金をして雇用を守る」と言うビジネスモデルは田舎ではアタリマエのことなのだ。また、国もジャブジャブと麻薬のように金を出す。どこに視点を置いて未来を考えればいいか分からなかった。ここ数ヶ月、憂鬱な日々を過ごしてきた。そしてようやく何が問題なのか見えてきた。


市役所が様々な業務委託を作っていくのも、子どもたちを帰ってこさせたい「役人」「議員」「議員の支援者」「影響力を持つ人々」がいるからなのだ。
しかし、僕は彼らを批判する気にはならない、僕も30代で新発田に帰ってきた時に臨時職員の口が無いか縁故に頼んだのだ。

考えてもらいたい、未来の借金が返せなかったら(市役所や内需型の企業やガス会社に勤めた)子どもたちは失業する。
自治体の破綻はこれから相次ぐだろう。
新発田市が破綻しないとはいえない。

市役所の臨時雇い(業務委託と呼ぶのかなあ)、建設会社の下請、ガス会社(公共企業)は、人口が減ったら全て消えてしまう。


地元に本社のある企業ができなければ皆おしまいなのだ。

新自由主義グローバル化)は人々から根を奪い「やすい労働力」として生きることを強制する。
『農地の統合->競争力のある農作物を作る』と言う妄言と補助金は間違った選択である。(このことは後日語りましょう)


その土地で生きることを決心した市民が、未来の借金に頼らないで生きていく道を見つけること。
「百年しばた」を通じて僕が見つけたいミライである。
「しばた」を見て、この土地で生きることを決心した人たちの話を聞くことで道は見えてくると思っている。




僕らのミライへ逆回転

この映画は、すいぶん前に見ておもいっきり泣かせてもらった。
今の僕の問題意識に見事な解答を示してくれている。
今日見なおしてボロ泣きであった。



オープニング、手作りのフィルムが流される。
その土地で生まれ、1930年台にジャズを産んだファッツ・ウオーラーの物語である。

そして物語は始まる。
高速道路が人々を都会に運んでいく。
二人の青年(すこし年だが)がその高架の壁面に何かの絵を書いている。

この二人は、都会での仕事も、地元での大きな企業にも勤められなかった。
一人は廃品置き場に働く、もう一人は潰れる寸前のビデオレンタル屋さんの店員である。

市民の生活の活性化と言う理由でレンタル屋さんは、市によって取り壊されようとしている。

まさに「新発田」の今である。


物語は思わぬ展開を始める。
アクシデントで全てのビデオが消えてしまう。
そして、自分たちでそのテープに映画を撮り始める。
これが当って大成功である。


所が、著作権に違反するということで全てを破壊される。
まさにグローバリズムが市場をコントロールしようとしている姿である。



彼らはあきらめないで新しい映画を取るのである。

そして物語はラストに向かう。
僕は最後のシークエンスに涙が止まらない。

とても素敵なお伽話なのだ。



随所に、どうしたら企業が生き残れるかを示唆するシークエンスがある。
今見なおしてみると、まさにこの映画の製作者がグローバル化の問題点を意識していたことが分かる。



一番大事なことは、その地で生きることを決心することである。自分、そして自分のルーツに誇りを持つことである。


今の「新発田」に無いものである。


そして日本は地方から壊死していく。

農業は破壊され、地方の働き場所は大手スーパーと市役所しか無い。
子どもたちは生まれた土地には戻れない。
地方には介護施設が林立する、老人は孤独な人生の終わりを迎える。
働き口のない地方は、原発や米軍基地を誘致する他ない。


そんな未来を僕らは変えることが出来るだろうか。


ラストに流れる曲は素晴らしい。
まさに、父が30年前に僕に語った言葉である。
僕は子どもにどんな言葉を語れるだろうか。


Mr.Fletcher's Song


There's more to life
Than this old place, hey
Put your dreams in suitcase

Go to explore another land
Stand in a spot you never planned


この古い街の外の広い世界。
夢をスーツケースに詰めて。
見知らぬ土地を探しに行くといい。
考えもしなかった場所に立ってごらん。

You can scoot
Or put down roots
Use my boot, i'll be there too

You can scoot
Or put down roots
Use my boot, i'll be there too

この街に根を下ろさぬなら、自分の場所を探すといい。
私のブーツを履いて道連れにしてくれ。


You'll meet new folks
And listen close
This song hits brand-new notes

Our town's not great
But nothin' wrong
Far from the world where we belong

様々な人達に会うだろう。
彼らの言葉を聞いてごらん、その歌は素晴らしく響くだろう。

この街も捨てたもんじゃないだろう。
都会と離れているだけさ。

You can scoot
Or put down roots
Use my boot, i'll be there too

You can scoot
Put down roots
Use my boot, they'll be there too

この街に根を下ろさぬなら、自分の場所を探すといい。
私のブーツを履いて道連れにしてくれ。



Sit before me, tell your story
Now here i'm close to you

いつかまた会えたなら、君が見てきたものを伝えてほしい。
きっと私の見てきたものと重なり合うだろう。

Pocket a book
Of letters you got
I'll tell it better than you thought

手紙を書き続けるよ。
きっと、この街も捨てたものではないと伝えたい。



通常の映画では字幕がつくことは少ないが、この映画ではこの曲に字幕が流れる。
タイトルには少し悲しい物があるが、これはグッドである。


僕は20代の頃父に『「しばた」に帰ってこようとするな』と言われた。
田舎がつまらない場所だと思っていた僕は当然の事のように東京で職を探した。
この歳になって、両親の辛さが分かる。

東京で借金まみれになって、30代に帰ってきたが、(縁故に探してもらった)市役所の臨時職員の仕事はなかった。

鉄工所で鉄を切る仕事につくことになった。
4年後に鉄工所は倒産させられて、結局またソフトの仕事をすることになる。

1999年位に倒産せざるを得なくなり、一緒に働いていた社員を解雇して、人生をリセットする。

その後、嵐のような飛び込み営業や様々な仕事をしてまた、会社を作ることが出来た。


今は両親(84歳になって二人共健在である)の家の隣に住んでいる。
毎週土曜日は料理を作って両親と食事をしている。


仕事はきついが順調である。

今進めているプロジェクトは、地元企業の「困った」を解決するものである。
そしてその中に普遍的なビジネスモデルを見つけてウエブアプリを作っている。
基本契約を結んで今年の夏の営業開始を目指している。

ネット上にDBを持ち、世界中の企業から低額で使ってもらう。
上手くいけば、誰かに雇われること無く、この土地で生きていける。

今作っているソフトの言語を学びだしたのは5-6年前である。
どんな企業も、常に新しい市場を探さなければ行きていけない。
言うなれば、不断の「起業」がなければ存続は出来ない。


僕は「しばた」に根ざした企業として人を雇えるようになりたい。
ここで生きると決めた「しばた」にひとりでも多くの子どもたちが帰ってこれるように生きていくことにした。

僕の見ているミライは困難な道だということは分かる。
けれども、市民が皆同じ場所に立てればきっと実現できる。

そして、世界を変えることが出来ると思っている。
そう考える馬鹿者だけが世界を変えられるのだ。

寝なくても、休まなくても、頑張れる。


僕はこれからも「しばた」を回って人々の声を聞いていく。

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