糖尿病の食事学(2):細胞が意識をフェイクする

ここ暫く、『進化』『遺伝』『進化医学』といった関係の本を読んでいる。
大変面白い分野で、ヒトゲノム(遺伝子)の解析結果をいかに解釈するのかという学問である。
今までは証拠のなかった『進化』と言う概念が科学的な事実として扱われようとしている。

様々な生命のDNAが解析され、比較された。
分ってみれば当たり前の事なのだが、比較されたDNA間で一致する部分が多く見つかったのである。
おサルさんとヒトの間では数パーセントしか違わないのである。


これは何を意味しているかと言うと、DNAは長い時間をかけて生命の系統発生に対応する様に積み重なって行っていると言う事である。
異なった生命の間で遺伝子の輸入があって今までの遺伝子に別な生命の遺伝子が積み重なって進化が起こっていると言う事である。


僕たちの遺伝子はかつてお猿さんと共通の祖先であった頃の記憶をもっているのだ。
犬、猫、虎、ライオンと言った哺乳類の子どもを可愛いと思う為には共通のプロトコルが必要なのである。




つまり、僕たちは単細胞生命から複数の細胞の集った生命になり、枝分かれを繰り返しながら様々な生命として地上に存在しているのだ。それは環境に適応する為の「利己的な遺伝子」の作為である
作為などと言う擬似的な表現は適切ではない。
それは「盲目の時計職人」の作為である。




ヒトの体は大きなマンションに似ている。
一つ一つの部屋が細胞であり、その細胞は自分の役割を知らない。
ドアの外に食べ物がおかれ、『インシュリン』はドアを開けて「ブドウ糖」が部屋に入ってくる為の付添人である。

それぞれの部屋は単細胞生命の頃の記憶を忘れる事はない。

例えば、時折、昔の記憶が呼び覚まされて勝手に分裂を繰り返したりする。
それが癌である。癌は特別な病ではなく、細胞が昔を思い出して、マンションのルールを破る事で起こる状況である。

自分のすんでいるマンションの通路や共有部分に勝手にダンボールハウスが出来てそこに知らない人が住み出したら大変だろ!!

通路に自分で買った自転車おかれる様なことも有る。

そうすると管理人に文句を言って排除してもらう。

免疫系の仕掛けである。


このアナロジーは秀逸だと思う。
最近考えついた。

細胞にはもう一つの記憶がある。
それは、大きくなりたいと言う記憶である。
しかしながら、マンションの管理人は、一つ一つの細胞が大きくなりすぎると不利である事を知っている。
だから食べる事を厳しく管理するのだ。
満腹となると食べたくなくなるのはそのせいである。

そして、細胞は、マンションの管理人をフェイクする。
もうこれ以上は食べなくても良いのに食べさせようとするのである。

意識は、管理人を支配しているのだが、拒食、過食といった状況を作り出すもとでもある。



僕の長い間の疑問は、『部屋の中の住人』『管理人』『意識』の三者の関係である。

意識って何だろうか?
まだ科学が説明を見つけていない大きな問いかけである。


【今日の料理】

朝食はキャベツたっぷりのウドンスキ

昼食は小女子入りタケノコキャベツ炒め


細胞達が満足して『空腹を信号しなくてもいい食事』をとればカロリーを採りすぎる事はない。
細胞が発する空腹の信号と戦っても無駄である。
必ず負ける。


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