いじめ 親は有っても子は育つ。
良い本である。
『子育ての大誤解—子どもの性格を決定するものは何か』
ジュディス・リッチ ハリス, Judith Rich Harris, 石田 理恵 2000 早川書房
子育てに悩んで色々と本を読んでいた頃の話で、かなり衝撃的であった。
今、いじめの事に悩みながら読み返してみたが、考える事が多い。
良書である。
mixiで本のレビューを書いていた
2006年09月01日 10:44の事である。
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僕らは皆子供だったし、誰かに育てられて来たのだから、子育てって全ての人間にとっての問題なんだ。
始めて読んだのはそんなに昔の事ではない。
しかし、確実に僕の人生で影響を受けた一冊の本になる。
しかし、もっと昔に出会っていたらこんなに影響は受けなかっただろうなあと思う。本の出会いはタイミングである。
上の娘を育てる時に妻と何度も喧嘩をした。ともに生きる事を断念する可能性を秘めた喧嘩だった。そんな深刻な状態の時にこの本に出会えた。
そして、子育ては子供を教育問題ではなく自分自身の問題である事を実感したのだ。
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人は、夢を持ち、現実と対峙して行くがやがて、多くをあきらめる事になる。あきらめる事が悪い事であるように感じる必要はないのだが、そう感じてしまうのが僕らの文化なのだからしょうがない。
そして、あきらめた時の責任は、今の自分を作った親にあると思うように(文化に)強制されている。
親に今の自分のいる場所の責任を押し付ける事、(それは親子両方にとって)不幸な事なのだ。
決して、自分が出来上がって行く過程で、親は重要ではないのだ。
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ジュディス・リッチ・ハウスさんと言う女性の方が著者なのだ。
内容は文化人類学、認知心理学その他広範囲な知識を持ち、『子育て』と言う実に難しい分野に対しての省察を行なっている。
子育てと銘打っていうるが、この本の議論の広がりは子供を育てるという局面に限定される事はない。
彼女は自分が大きくなる過程を鍵に、世の中の子育て論を一つ一つ見つめて行く。
そうして、一つの結論を出すのである。
はっきり行ってこの本は子育ての本ではない。一人の女性の魂の変遷の記録である。
「親は有っても子は育つ」と言うのは僕の大好きな坂口安吾の言葉である。
>>>>>P445からの一節を引用<<<<<
集団と個人的な人間関係。それらは供に私たちに取って重要だが、どのように重要なのかはそれぞれで異なる。仲間との子供時代の経験と家庭での親との経験は、違った形で私たちにとって重要なのだ。
親子の関係は一生続く。私たちは一度でなく、何度も親に別れを告げる。それでも決して彼らを忘れたりはしない。わが家に戻るたびに家族の思い出が引き出され、それに浸る機会が与えられる。その間は子供時代の友人についてはあっさりと忘れ去られてしまっていて、校庭で何が起きたかは記憶から消えてしまう。
子供時代を思い出したとき、頭に思い浮かぶのは親だ。責任を押し付けたいのなら、心の中の人間関係を司る部分にすべきだ。それはあなたの考えや思い出を不当なほど多く奪ってしまっているのだ。
あなたに悪い所があるとしても、けっしてそれを親のせいにしてはならない。
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