自衛隊よ、夫を返せ!—合祀拒否訴訟 社会思想社 田中 伸尚 1988年

2006年09月01日 10:41にmixに書いていた。


軍隊は人を殺し、人としての最後の安らぎも奪う。それが国家の本質なのだ。

大学に入って、日本史の授業を受けた。年号と出来事の暗記を嫌悪していた僕はあまり単位にうるさく無いと言う噂の授業を受ける事にした。

中島三千男先生と言う人の授業で、何気なく教室の端に座って聞いていた。

近代史の専門の先生で、何となく話を聞いていた。靖国神社の合祀の話だった。

余り興味もなく話を聞いていた。粗筋はこうである。
自衛隊のトラック事故で死んだ隊員がいた。その隊員は自衛隊葬でお葬式をしてもらって、靖国神社に祀られた。その後、未亡人が合祀をいやだから戻してくれと言う裁判を起こしたと言う問題である。

何で、合祀がいやなのかなあと思った。




そして授業の中で先生は語った。



事故が起こった後で、遺体と奥さんは対面出来なかった。通夜の時も対面出来なかった。
そして、葬儀が始まる前に10分位会えたそうだ。
そのとき奥さんは編みかけのセーターを亡骸に掛けてあげる事が出来た。
そのとき、余り急いでいたので裏返しにかけたそうだ。何年もその事を彼女は悲しんだ。

大掛かりな葬儀と神にまつる儀式の間、彼女は安らぎを得る事は出来なかった。
小さな子供と供に、やがて彼女は自衛隊の官舎を出て一人で生きる事になる。


彼女は決心した、自分の心に正直に生きる事を。

そして、裁判を始める。右翼から多くの脅迫状が来ることになる。

非国民、日本がいやなら出て行け、様々なことを言われる事になる。
彼女は負けなかった。そして、多くの支援者と供に戦い生きる事になる。

先生の言葉を聞いているうちに涙が止まらなくなった。

私たちは、生きる、そして、いつか死ぬ事になる。安らぎとは何なんだろうか?
国家は、本来、国民が心を安らかに生きる事を最大の目的としなければいけないのに、決してそうはなっていない。何か間違っている。


その後で、この本を図書館で見つけた。そして、本屋で買った。何度も読み返して、涙が止まらなかった。





僕も、自分の気持ちに正直に生きたいと思った。誰が何と言っても、負けては行けないと思った。

20年後、僕は労働組合の委員長となり、労働争議を戦う事になる。あの時に頑張れたのはきっと自分の気持ちに正直に生きる事が大事な事と決心していたからだろうと思う。

大学ではまじめ(司法試験を目指す様な形で)に法律を学んだ訳ではないが、憲法、刑法、文化的な面から見た法律を一生懸命勉強した。
社会と法律の関係、とても重要である。


http://www.inet-shibata.or.jp/~diet/K_KUM_START/index.html

>>>>>この本の事<<<<<<<

大事な本なんだけど,何処かかに紛れ込んでしまった。
『合祀はいやです。—こころの自由を求めて』と言う名前で再販されている。
さっき、注文した。



================= 引用ここまで =================


僕は、靖国神社は嫌いだ。


中島先生お元気だろうか。


靖国合祀イヤです訴訟:このページを今日知った。嬉しくなった。